エボラ熱に「必ず打ち勝つ」とUNDPクラーク総裁 日本へ一層の協力求める

途上国の開発に取り組む国連開発計画(UNDP)のクラーク総裁がハフポスト日本版の取材に応じ、エボラ出血熱の感染拡大の防止のため日本に一層の協力を求めた。
Wataru Nakano

途上国の開発に取り組む国連開発計画(UNDP)のヘレン・クラーク総裁が11月、東京都内でハフポスト日本版の単独インタビューに応じ、西アフリカで大流行が続くエボラ出血熱について「いますぐにとはいかず、もう少し時間がかかるでしょうが、私たちはエボラに必ず打ち勝ちます」と述べ、感染拡大の防止のため日本に一層の協力を求めた。

UNDPはエボラ出血熱の流行が続く西アフリカのリベリア、シエラレオネ、ギニアで、感染防止のため警察部隊の訓練や地域住民の啓発活動などをしている。クラーク氏は、エボラ出血熱が流行する3カ国は世界でも最貧国であり、「経済力が弱いために悲劇が起きます。医療システムを強化しないといけません」と指摘した。

また、人間の安全保障(国家ではなく人間に焦点を合わせ、個人の保護と能力強化を通じて紛争、貧困、病気、環境破壊などに対処しようとする考え)に焦点をあてた上で、「大事なことは、日本のさらなる援助が必要だということです」と強調。具体的には、政府が主導して医師や看護師、また援助関係者らを派遣することのほか、資金的な援助、さらには基本物資を送るといったロジスティック(後方支援)面での協力の強化を日本に求めた。

エボラ出血熱を沈静化させるためにかかる時間として、「数年かけるわけにはいきません。年内にも劇的な進展をさせることが目標です」と述べた。

一方、2014年9月に東京で開かれた「女性の輝く社会に向けたシンポジウム」にも登壇したクラーク氏は、女性の働き方について、「すべての国が、女性が活躍する機会を最大限に拡大するべきです」と述べた。ただし家庭や子育てに力を注ぎたい人もいることから、「選択肢を増やして選べるようにすることが大切です」と強調。また、日本については女性を取り巻く環境を改善しようとしていると評価した。

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ヘレン・クラーク ニュージーランド生まれ。1993年に労働党党首。1999~2008年に同国首相。09年4月から現職。Forbes誌が選ぶ「世界でもっとも影響力のある100人の女性」にドイツのメルケル首相などと並んで毎年ランクイン(2014年は21位)し、欧米メディアでは次期国連事務総長が女性であれば最有力候補の一人と報道されている。64歳。

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