トランスジェンダーが「本来の自分」になったら 性的に"適合"する前と後のポートレイト(画像)

写真家のクラウディア・ゴンザレス氏は実際には性別を変える手術をすることなく、性的アイデンティティ変えた人たちの「ビフォア・アフター」写真を撮影。写真の中で彼らの性的なアイデンティティを不滅のものにしている。

Wendy(ウェンディ)

写真家のクラウディア・ゴンザレス氏が、写真プロジェクト「Reassign(再適合)」で描こうとしているのは「自由、前進、多様性、敬意」。そしてそれは野心的な希望でもある。

キューバで撮影されたこの思わず目を引く写真のシリーズは、「性別適合手術」(「性転換手術」に代わる言葉)を受けようとする人々を撮影したものだ。彼らは、自らの性的アイデンティティを「適合する前」と「適合した後」の2つの写真を並べることで、これまでの人生で何度も否定されてきた、本来の性的アイデンティティを不滅のものにしている。

Ashenal(アシェナル)

2枚組のポートレイト写真は、実はすべて同じ日に撮影されている。つまり、被写体になった人たちは実際に性別を変えるための手術を受けたわけではなく、それぞれの写真を撮るまでの間に、被写体の身体が実際に変化したわけではない。むしろ、この2枚の写真では、「性的なアイデンティティの移行」が肉体の変化から切り離されているのだ。しかし、彼らの表情から「性的なアイデンティティの移行」が行われたことがわかる。

「再適合」を意味する「Reassign」というタイトルは、ある意味では皮肉めいている。言葉がもつ単純で二元論的な意味合いが、性別適合手術の複雑さを説明するにはどれほど物足りないかを表しているからだ。

Vanessa(ヴァネサ)

1960年代のキューバは、フィデル・カストロ前国家評議会議長の統治の下、多くの同性愛者が労働収容所に強制移送されていた。しかし現代のキューバは、後述するように、性的マイノリティの権利という点でかなりの前進を見せている。

だが、多くの雇用主はいまだに先入観にとらわれているため、トランスジェンダーの人たちが仕事に就いたり教育を受けたりする手段を見つけることは難しい。差別や抑圧を受けた人たちの中には、生活を支える手段として、売春や麻薬取引に走る者もいる。キューバのトランスジェンダー文化を記録した写真や映像は、ほとんどがそうした末端の生活を描いたものだ。

ゴンザレス氏は、そのような状況を変えたいと考えた。彼女は、全体的な観点から性を研究する教育研究慈善団体「CENESEX」に関わるようになった。CENESEXはキューバ政府に支援された団体であり、責任者は、ラウル・カストロ議長の娘であるマリエラ・カストロ。CENESEXなどが運動を行った結果、現在のキューバでは、希望する者に性別適合手術を無料で提供している。

そしてゴンザレス氏は、「シンプルだが、画期的」なアイデアを思いついた。CENESEXに関わっているトランスジェンダーの人たちが、「性別適合手術」を行った前と後の姿を、人々に自信を持たせるような感性豊かなポートレイトとして撮影するというアイデアだ。

Denny(デニー)

「性的マイノリティの人たちがどのように扱われているかを見れば、その国の変化の度合いをある程度判定できます」とマリエット・パシー・アレン氏は言う。アレン氏は、キューバのトランスジェンダーの人たちを撮影した写真集「TransCuba」で知られる写真家だ。

肯定的な社会的変化が、今後も続いていくことを期待したいと思う。以下では引き続き、ゴンザレス氏による写真集から、いくつかの作品を紹介しよう。

Cythia(シシア)
Danay(ダネイ)
Lady Ross(レイディー・ロス)
Laura(ローラ)
Malú(マルー)
Natali(ナタリ)
Sissy(シシー)

文末スライドショーでは、男の子の兄弟として生まれたが、現在は姉妹として生きている「マンディとイーヴァ」を紹介している。

この記事は最初にハフポストUS版に掲載されたものです。

[日本語版:佐藤卓、合原弘子/ガリレオ]

Mandy & Eva

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