仏教伝来の地、紅葉の名所に仏様の頭だけが鎮座している。

奈良県明日香村で、川辺の岩の上に観音菩薩(ぼさつ)のような仏像の頭部が固定され、謎が深まっている。
朝日新聞社

謎の仏像、なぜ?誰が? 頭部だけ紅葉の名所に 奈良

奈良県明日香村で、川辺の岩の上に観音菩薩(ぼさつ)のような仏像の頭部が固定され、謎が深まっている。6世紀ごろに仏教が初めて日本に伝わり、飛鳥時代に仏教文化が花開いた土地だけに、住民らは「なぜ、仏様が現れたのか」と頭を悩ます。景観を損なうとの指摘もあり、県も対策に乗り出している。

美しい棚田が広がる風景で知られる村南部の稲渕地区を流れる飛鳥川。飛鳥(あすかの)川上坐宇須多岐比売命(かわかみにいますうすたきひめのみこと)神社の近くの岩の上に、モルタルで接着されている。樹木の生い茂る中を川が流れ、水際まで近づくことができるため、紅葉や新緑の撮影ポイントとして全国の写真愛好家でにぎわう場所。今秋、飛鳥京観光協会会長で、写真家の上山好庸さん(64)のもとに、「岩に仏像が固定され、紅葉の写真が撮れない」「気味が悪い」などの苦情が寄せられ、村に連絡した。

飛鳥川を管理する県桜井土木事務所によると、大理石とみられる白い石材に彫刻され、高さ約45センチ、幅約28センチ。河川法は河川区域内に許可無く工作物を設置することを禁じており、同事務所は15日付で、来年1月31日までに撤去し、原状回復を求める警告文を現場周辺に掲げた。

(朝日新聞社提供)

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