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2014年12月30日 01時45分 JST | 更新 2014年12月30日 01時46分 JST

ヒトデが溶けて大量死する謎 海洋の生態系全体に影響をおよぼす可能性も(画像)

メキシコからアラスカにかけての沿岸で、1年以上もヒトデが溶ける謎の現象が起きている。

ASSOCIATED PRESS
FILE - This undated file photo released by the Rocky Intertidal Lab at the University of California-Santa Cruz shows a starfish suffering from

メキシコからアラスカにかけての沿岸で、1年以上もヒトデが溶ける謎の現象が起きている。

病気を発症すると最初に腕は固く曲がり、皮膚上に白い病斑ができる。次に、通常は水分をたくさん吸収してその形を保っているヒトデが収縮し始める。そして突然手足が剥がれ落ちる。症状が一回発症すると、数日で分解されて死に至る。

この疾患は「ヒトデ消耗性疾患」(SSWD)と呼ばれ、2013年に太平洋岸沿いで急速に発生し広まった。この海洋生物の大量死の原因については、海洋生物学者の間で「地球温暖化が原因なのか」といった推測がいくつかあるに過ぎない。

現在、大規模な新しい研究が行われ、ヒトデを溶かしている原因を絞り込んでいる。無脊椎動物の生物学者、遺伝学者、統計学者、獣医師やウィルス学者と様々な専門家によるグループの研究結果がアメリカ科学アカデミー紀要の機関誌で紹介されている。

研究者は次のように指摘している。「ヒトデを襲っているのはウィルスで、実際にヒトデに発見された最初のウィルスだ」

コーネル大学の海洋生物学者で報告書の共筆者であるイーアン・ヒューソン氏は次のように述べている。「今回の研究より以前は、ヒトデの病原体についてほとんど知られていなかった」

アメリカ政府からの資金援助で資金を確保したことにより、専門家たちが集められてヒトデの死の原因を明らかにした。ヒトデの大量死は海洋の生態系全体に影響を及ぼす可能性がある。

海底に無抵抗にただ横たわっているように見えるが、ヒトデ(star fish)――生物学者の間では「海の星」(sea star)と呼ぶのが好まれている。ヒトデは実際には魚とは遠い「いとこ」だからだ――は、海で最も貪欲な捕食者の一種である。下面にある口でウニ、貝のイガイやその他の海洋生物を食べる。ヒトデが食べる海洋生物の多くには他に天敵がいないので、ヒトデがいなくなると天敵がいなくなった海洋生物の個体群密度が増し、サンゴ礁を維持するサンゴなど、他の海底にいる生物種を追い出してしまうことになる。

健康なヒトデが餌を食べているタイムラプス画像

 ヒューソン氏はこう述べている。「一般に、病気の原因を突き止めることは何年も何十年も要する」。彼は研究グループに対し、早急に原因を究明するように伝えた。環境汚染がこの病気の原因ではないかと世間が心配しているからだ。

研究グループはヒトデの組織に感染している新しい細菌を顕微鏡で発見できなかったが、「ニュートリブレット」(スムージーを作るミキサー)を使って「ヒトデスムージー」を作り、目に見えなかった「ウィルス」を探すことにした。病気を発症しているヒトデの組織を混ぜ合わせ、ミキサーにかけられたヒトデを分解して「ウィルスの大きさの微粒子」にする。健康な検体にその溶解を注入しタンクに入れておいた。研究者がそのスムージーを熱で低温殺菌して潜在しているウィルスを全部消滅させた場合、ヒトデは発病はしなかった。しかし、熱処理しなかった場合、それを注入したヒトデには萎縮が始まった。

また、研究グループは1942年に採取された博物館の標本までさかのぼって調査したところ、標本からもウィルスを発見した。その結果、近年の大流行は昔から長く存在する病気が原因であることが明らかになった。

オレゴン州立大学の海洋生物学教授で、今回の研究には関与しなかったブルース・メンゲ教授はこう述べている。「報告書に報告されている実験結果はかなり有力だ」

なぜウィルスが発症し、どのようにして組織を溶かすのかは不明のままだ。近年の個体群密度が高いことが今回の大流行をもたらしたかもしれない。一説には、西海岸の都市の下水が水中に浮かぶ小さなプランクトンの餌になっているかもしれない。ウニやその他の海洋生物がプランクトンを食べ、さらそれらの海洋生物がヒトデの餌となり、数が繁殖する。この接点を確かなものにするにはさらに研究が必要だとヒューソン氏は述べている。

SSWDが進行したヒマワリヒトデ(イーアン・ヒューソン氏提供)

「ヒトデの大量死は過去に海水が暖かくなったことと関連性がありました。しかし近年は、アメリカの西海岸沖の海温は通常よりも低くなっています」サザンプトン大学の海洋研究員アマンダ・E・ベイツ氏はこう述べている。「ですので、現在の病気の大発生が温暖化と関連があるとは考えていません」。ベイツ氏はこれまでの研究で海水温の上昇とヒトデの大量死の関連性を指摘している。「しかし、海洋生物が適した水温よりも暖かい温度、例えば非常に熱い温泉のような温度にさらされたら、病気を追い払う能力は低減します」。

メンゲ教授はこう述べている。「今回の現象が広範囲にわたっているということは、海洋の変化がきっかけになっているのかもしれません」。メンゲ教授は、地球温暖化や海洋酸性化などの人間の活動に関連した原因を調査すべきと考えている。

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