後藤健二さん、「イスラム国」拘束から解放交渉までの経緯【まとめ】

過激派組織「イスラム国」によって殺害されたとするビデオが公開された後藤健二さん。これまでの経緯をまとめた。
ALEPPO, SYRIA - JANUARY 29 : A frame grab taken from a footage on October 24, 2014, shows Japanese journalist Kenji Goto Jogo, one of two Japanese hostages captured by Islamic State of Iraq and Levant (ISIL), gives an interview in northern Mari district of Aleppo, Syria. (Photo by Huseyin Nasir / Anadolu Agency /Getty Images)
ALEPPO, SYRIA - JANUARY 29 : A frame grab taken from a footage on October 24, 2014, shows Japanese journalist Kenji Goto Jogo, one of two Japanese hostages captured by Islamic State of Iraq and Levant (ISIL), gives an interview in northern Mari district of Aleppo, Syria. (Photo by Huseyin Nasir / Anadolu Agency /Getty Images)
Anadolu Agency via Getty Images

過激派組織「イスラム国」によって殺害されたとするビデオが2月1日に公開された後藤健二さん。「イスラム国」による日本人人質事件のこれまでの経緯をまとめた。

後藤さんは仙台市出身。番組制作会社を経て、1996年に映像制作会社「インデペンデント・プレス」を設立。戦争取材や難民、紛争地の子供たちを中心に取材活動をしていた。シリアには何度も取材に訪れ、その様子を日本国内で報告するなどしていた。

湯川遥菜さんのブログによると、2014年4月、民間軍事会社をしていた湯川さんがシリアに渡航して反政府派武装組織「自由シリア軍」に拘束されたとき、後藤さんは現地司令部の幹部の通訳を頼まれ、湯川さんと初めて会った。湯川さんの解放後、後藤さんはイラクなどで一緒に行動していた。その後、再びシリアに旅立った湯川さんを、後藤さんは「とめられなかった」と悔やんでいた

■湯川さんを救出に向かい拘束か

2014年8月、イスラム国が湯川さんを拘束したとする映像が公開された。後藤さんは2014年10月25日に妻の元を離れ、救出に向かったとみられる。その後、消息が途絶えていたが、12月2日に「イスラム国」関係者から後藤さんの妻にメールが届き、後藤さんが拘束されていることが家族に明らかになった

安倍晋三首相は中東を歴訪中の2015年1月17日、エジプトで演説し、「イスラム国」周辺国の難民支援などに2億ドルを拠出すると表明

2015年1月20日、「イスラム国」が後藤さんと湯川さんを拘束し、支援表明額と同額の身代金2億ドルを要求する動画が公開された

イスラム国が殺害を警告する様子を写した動画より。左が後藤健二さん、右が湯川遥菜さん

安倍首相は中東訪問を途中で切り上げて帰国し、同行していた中山泰秀・外務副大臣をアンマンの現地対策本部に向かわせた。

■湯川さん殺害? ヨルダン死刑囚の釈放要求に転換

1月24日、「イスラム国」は新たな動画を公開。動画では後藤さんが、湯川さんの遺体とみられる写真を持つ静止画が映し出され、後藤さん本人とみられる音声で、身代金の要求を撤回し、「ヨルダンの連続爆破テロの女性死刑囚、サジダ・アル・リシャウィ容疑者を釈放するよう、ヨルダン政府に求める」よう要求していた

■ヨルダンはパイロットとの交換を要求

ヨルダン政府は、「イスラム国」に拘束されているヨルダン軍パイロット、ムアーズ・カサースベ中尉を解放するなら、リシャウィ死刑囚を釈放すると表明。

これを受け、新たな動画が1月27日に公開された。ヨルダン軍パイロットの写真を持って「私には24時間しか生きる時間がない」と述べ、リシャウィ死刑囚を解放するよう求めた。

さらに後藤さんとみられる音声が1月29日に公開され、この日の日没までにリシャウィ死刑囚をトルコ国境まで連れて来なかったら、ヨルダン人パイロットを殺害すると警告していた。これに対し、ヨルダン政府のメディア担当相は、パイロットの生存確認を求める姿勢を示した。交渉期限となる日没は過ぎ、「イスラム国」側からの情報発信は途絶えていた。

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