アメリカの「はしか」大流行の一因となった「反ワクチン」派を論破する

反ワクチン派の6つの見当違いの主張と、その真実を見ていこう。
The doctor gave children vaccination needle
The doctor gave children vaccination needle
yangna via Getty Images

2014年12月、ディズニーランドで発生した「はしか」が2015年1月から2月にかけてアメリカで15年ぶりに大流行している。この大流行の背景には、アメリカの親たちに根強く残る「ワクチンへの不信」がある。「ワクチンが原因で自閉症になる」といった、根拠のない医師の論文やデマがひとり歩きしているためだ。ハフポストUS版では、そういったワクチンにまつわるデマについて紹介している。

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小児用ワクチンの安全性効果には、多くの科学的根拠がある。アメリカの公衆衛生当局によると、ワクチンはシートベルトと同じくらい子供たちを守るのに重要だ。オバマ大統領も、子供に予防接種を受けさせるよう親に促している。

それなのに一体なぜ、アメリカの多くの親たちが子供に予防接種を受けさせないのか? まさに、14州で102人もの患者が出るはしかの大流行が起きているというのに。

もちろんこれは複雑な問題だ。政府への信頼(あるいは不信感)が重要な要因として指摘されている。しかし、多くの親たちが反ワクチン派になるのは、毎度おなじみ、誤った情報の結果だ。

反ワクチン派の6つの見当違いの主張と、その真実を見ていこう。

間違った主張1:ワクチンが自閉症の原因になっている。

たしかに「ワクチンが自閉症の原因ではない」とは証明されていない。ないことを証明するのは困難だ。しかしアメリカ小児医学会は、ワクチンと自閉症の間にいかなる関連もみられなかったとする、40以上の研究のリストを公表している。

間違った主張2:イギリスの研究でワクチンと自閉症の関連が示された。

たしかに、1998年に医学雑誌「ランセット」に掲載されたある研究論文で、関連性を指摘された。しかしこの論文は撤回されている。研究を主導した内科医のアンドリュー・ウェイクフィールド博士は、データを改竄したことが明らかになり、医師免許を剥奪されている。

間違った主張3:予防接種を受けたあと自閉症を発症した子供の事例がたくさんある。

しかしこうした事例は証明にはならない。ワクチンのせいで子供たちが自閉症になったと信じる理由にはならない。科学者たちが端的に言う通り、相関関係と因果関係は別物だ。多くの親たちがどんな思い込みをしようとも。

アメリカの匿名投稿サイト「Reddit」ユーザーJasonp55は、こうした思い込みが見当違いであることを指摘している。彼の調べでは、オーガニック食品の売上と自閉症の診断患者数は、同時期に同じペースで増加している。相関関係があるからといって予防接種が原因だと言うのは、自閉症の増加はオーガニック食品のせいだと言うようなものだと述べている。

間違った主張4:うちの子が予防接種を受けようが受けまいが勝手だ。

実際には、子供に予防接種を受けさせない親は、接種年齢に達していないなどの理由で接種を受けられない子供たちの健康を危険に晒す可能性がある。未接種の子供の割合が一定の閾値を越えると、いわゆる「集団免疫」が損なわれ、予防可能な病気がコミュニティへの侵入の足がかりを得ることになる。

間違った主張5:ワクチンは子供の免疫系に「過剰な負荷」を与える。

これは真っ赤な嘘だ。赤ちゃんは生まれた瞬間から、あらゆる病原性ウイルスに曝されている。だから、医師、それにアメリカ予防管理センター(CDC)やアメリカ医学研究所の共通見解として、子供の免疫系は複数のワクチンの中の免疫反応を刺激する抗原に十分対処できる。それどころか、サンフランシスコの小児科医ローレル・シュルツ博士による最近の記事によれば、子供たちは日常の環境の中で、すべての予防接種を合わせたよりも多くの抗原に接触している。

間違った主張6:予防接種で得られる免疫よりも「自然の」免疫の方が優れている。

いわゆる「自然の」免疫は、人体が伝染病に感染し打ち勝った結果だが、研究によれば、各種予防接種を受けた人たちの免疫反応は感染によって免疫を得た人たちのものと同等だ。それにもちろん、ワクチンによって免疫を獲得する方が、重篤になるかもしれない感染を経るよりも望ましい

この記事はハフポスト・ブロガーで『パニック・ウイルス(The Panic Virus)』著者セス・ムヌーキン氏の協力により執筆されたハフポストUS版の記事を翻訳しました。

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