ウクライナ停戦合意守られず 東部要衝デバリツェボ、親ロ派がほぼ掌握

ウクライナ東部ドネツク州の要衝デバリツェボでは17日も停戦合意が守られず、戦闘が激化した。親ロシア派は同地域をほぼ掌握し、数千人のウクライナ政府軍兵士を包囲。投降するよう要求している。
Reuters

[NIKISHINE(ウクライナ)/ブダペスト 17日 ロイター] - ウクライナ東部ドネツク州の要衝デバリツェボでは17日も停戦合意が守られず、戦闘が激化した。親ロシア派は同地域をほぼ掌握し、数千人のウクライナ政府軍兵士を包囲。投降するよう要求している。

ロシアのプーチン大統領もウクライナ政府に対し、兵士を投降させるよう要請。「ウクライナ軍兵士が武器を捨てることを、同国指導部の責任者が妨げないよう望む」と述べた。

さらに「自身で決断し、命令できないのであれば、兵士の命を救おうとした者を彼らが起訴しないことを願う」と語った。

親ロ派は攻勢を強めており、政府軍、親ロ派双方とも期限が過ぎても重火器の撤去を開始しておらず、停戦合意はほぼ白紙状態に戻っている。

親ロ派幹部のエドゥアルド・バスリン氏は「デバリツェボの80%をすでに掌握した。掃討作戦が進んでいる」と述べた。

また、ウクライナ軍兵士5000人の投降をめぐる交渉も行っていると明らかにした。「数百人」を拘束したとし、最終的に家族の元へ帰すとしている。

ウクライナ軍は、デバリツェボの陥落を否定したが、一部地域が奪われたことを認めた。

欧州安保協力機構(OSCE)の監視員は、デバリツェボに入れない状況が続いている。

米国務省は停戦合意後もデバリツェボで戦闘が続いていることに懸念を表明し、ロシアからデバリツェボへ軍装備品が供給されないかを注視している、と明らかにした。

国連安保理、ウクライナ停戦履行求める決議案を採択

[国連 17日 ロイター] - 国連安全保障理事会は17日、ウクライナ東部の和平実現に向けた停戦合意への支持を表明し、すべての当事者に合意内容を順守するよう求める決議案を全会一致で採択した。

決議案はロシアが策定した。米国のパワー国連大使は、ウクライナ東部で戦闘を繰り広げている反政府勢力がロシアからの後ろ盾を得ていることを踏まえ、決議案について「皮肉だ」と指摘。

さらに「ロシアは合意し、それを損ねるためにあらゆる手を尽くす。ロシアは国家の主権を支持した上で、隣国の国境が存在しないかのように振る舞う」と批判した。

一方、ロシアのチュルキン国連大使は「危機発生当初からロシアは、ウクライナでの紛争当事者らに対し、包括的で透明性の高い対話を通じて平和的な解決を目指すよう積極的に求めてきた。今後もこの基本的なアプローチを堅持する」と述べた。

安保理は決議案採択の直前に報道声明を発表し、すべての当事者に戦闘を止めるよう呼びかけていた。同声明は英国が作成。ドネツク州デバリツェボ周辺で戦闘が続いていることに重大な懸念を表明した。

安保理はまた、マレーシア航空機が墜落したウクライナ東部の現場への立ち入りを求めた昨年7月の決議案を確認した。

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