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2015年03月11日 20時46分 JST

Apple Watch、中国で成功するのか 「普通の高級腕時計を買う」の声も

[北京 10日 ロイター] - 米アップルが9日開催した腕時計型ウエアラブル端末「アップルウオッチ」などの発表イベントでは、中国が大きなテーマの1つだった。杭州の新しいアップルストアを大々的に紹介し、中国で人気の通信アプリ「微信(ウェイシン)」(英語名:WeChat)をアップルウオッチで動かすデモも披露した。 また、これまでスマートフォンの最新機種「iPhone(アイフォーン)6

ロイター

[北京 10日 ロイター] - 米アップルが9日開催した腕時計型ウエアラブル端末「アップルウオッチ」などの発表イベントでは、中国が大きなテーマの1つだった。杭州の新しいアップルストアを大々的に紹介し、中国で人気の通信アプリ「微信(ウェイシン)」(英語名:WeChat)をアップルウオッチで動かすデモも披露した。

また、これまでスマートフォンの最新機種「iPhone(アイフォーン)6」などは、中国での発売日が米国に比べて約1カ月遅かったが、アップルウオッチについては米国と同じ4月24日であることも発表された。

アップル愛好者が多く、米国に次ぐ世界第2位の巨大なiPhone市場を持つ中国だが、アップルウオッチが上位中流層に受け入れられるかどうか判断するのは時期尚早と言えそうだ。

ガジェット(電子機器)なのかファッションアイテムなのかという議論はさておき、アップルウオッチが中国市場ではかなりの高額商品であることは間違いない。最も安いスポーツモデルは税込で約3000元(479ドル)で販売される。米国では349ドルだ。最も高額な上位モデルのエディションは、米国での販売価格が1万7000ドルなのに対し、中国では14万5000元(2万3157ドル)だ。

これは、手持ちの機種がすぐ旧式になる可能性がある高級デジタル製品に払う金額としては大きい。アップルは、毎年のようにiPhoneの新機種を出している。

また、中国のユーザーにとっては、スクリーンのサイズや人気アプリの不足など、購入に二の足を踏ませる別の実用的な要因もある。

上海でロイターの取材に応じたフリーランスのHuang Hongwenさん(46)は「こんな小さな画面を見つめながらWeChatのメッセージを送るのは不可能に近い」とコメント。アップルウオッチ最上位機種のエディションを引き合いに、「同じ値段なら普通の高級腕時計を買う」と語った。

さらに、アップルウオッチは健康管理機能を充実させているが、中国と米国ではそもそも、健康関連商品に対する態度が異なる。

調査会社フォレスター・リサーチ(北京)のバイスプレジデント、ブライアン・ワン氏は「中国の健康関連商品では、多くの消費者の購入理由は値段が安いことだ」と指摘する。

同氏は、中国でアップルウオッチに飛びつくのはテクノロジーやアップルのファンであり、そうした層が選ぶのは最も安いスポーツや最上位のエディションではなく、標準モデルだと予想している。

<倹約の逆風>

中国ではまた、習近平国家主席が倹約令を強く打ち出し、汚職撲滅も推し進めている。こうした動きを受け、官僚らの贈答習慣や誇示的消費が大きな部分を占める高級品市場は冷え込んでいる。

2013年には、高級腕時計をいくつも所有している画像がインターネットに流出した地方官僚が、収賄罪で禁錮14年の判決を受けている。

コンサルティング会社べイン・アンド・カンパニーによると、2014年の中国本土での高級品の売上高は1150億元と、前年比で1%のマイナスとなった。

しかし、中国の会員制エリートクラブ「フォーチュン・キャラクター・インスティテュート」のZhou Ting氏は、宝石をちりばめたロレックスや太い金の腕輪を「成金趣味」と敬遠する都市部富裕層には、アップルウオッチは受けるとみている。

「中国の富裕層は自分たちの鑑識眼や趣味を見せたがる」と語るTing氏。「彼らは絶えず何か目新しい物を探している。アップルはそれを満たせる」という。

<周到な準備>

アップルはアップルウオッチの発売に先駆け、中国で下準備を周到に進めてきた。インターネットサービスの騰訊控股(テンセント・ホールディングス)<0700.HK>や電子商取引大手のアリババ・グループ・ホールディングとも協力を進めている。

テンセントの通信アプリ「微信(ウェイシン)」が9日のアップルウオッチなどの発表イベントでも紹介されたのは冒頭で触れたが、アリババの電子決済サービス子会社も、オンライン決済アプリ「アリペイウォレット」をアップルウオッチ向けにカスタマイズした。

ネット検索大手の百度(バイドゥ)も、アップルウオッチ向け自社製品の可能性を探っているという。

買い物旅行で香港を訪れた広東省仏山市の事務員Winnie Kooさん(26)は、アップルウオッチは高価だとしながらも、法外な値段というわけではないと指摘。「iPhoneほどには普及しないだろうが、画期的な機能は非常に魅力的だから欲しがる人は多いと思う」と語った。

(Paul Carsten記者、Gerry Shih記者、翻訳:宮井伸明、編集:伊藤典子)

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