大阪都構想、5月17日に史上最大の住民投票、橋下徹氏の今後は?

地域政党「大阪維新の会」代表を務める橋下徹・大阪市長が推進しているこの構想、大阪の行政機構だけでなく、日本の政局にも大きな影響を及ぼすかもしれない。
Taichiro Yoshino

大阪市を解体・再編し、大阪府との二重行政を解消するとの「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が4月27日に告示された。5月17日に投開票される。大阪市の有権者計約211万人が対象となる、日本では過去最大の住民投票となる。

地域政党「大阪維新の会」代表を務める橋下徹・大阪市長が推進しているこの構想、大阪の行政機構だけでなく、日本の政局にも大きな影響を及ぼすかもしれない。

●そもそも、どんな構想?

現在、24区で構成される「大阪市」を解体し、北・南・東・中央・湾岸の5特別区に再編する。

住民が選挙で選ぶのは、現在は大阪市長と市議会議員(24区長は市長が任命)だが、これらの役職と組織はなくなる。5特別区それぞれに区長と区議会を新たに設け、それぞれ住民の直接選挙で選ぶ形にする。行政機構や教育委員会も、5区にそれぞれ設けられる。

東京23区にはそれぞれ、選挙で選ばれた区長がいて区議会があり、教育委員会も独立している。この体制を大阪にも導入すると考えるとわかりやすい。

ちなみに大阪府を「大阪都」と名称を変えるには別途、国会での法改正が必要となる。

大阪市営地下鉄

●二重行政をなくすってどういうこと?

政令市の大阪市は、大阪府にほぼ匹敵する権限がある。このため大学や病院、図書館など似たような施設を、府と市が競うように造った結果、巨額の財政赤字を招いたと「大阪維新の会」は主張している。

橋下氏が大阪府知事時代(2008〜2011)に意欲を燃やしたのが、鉄道インフラの整備だった。関西空港から大阪市中心部へのアクセスを改善しようと、地下鉄なにわ筋線の建設やリニア導入などの構想を次々と打ち上げたが、大阪市中心部を走る地下鉄は大阪市交通局が整備主体なので、府が音頭を取ったところで構想は進展しなかった。

「府と市の連携強化」を掲げて大阪市長に転身した後の2013年にも、大阪市の水道事業を大阪府に移管しようとしたが、野党が「水道料金が値上げされかねない」と反対し、市議会で否決された。

維新の宣伝資料には、大学や病院、消防など、市と府がそれぞれ実施している事業を府に移管・統合し、地下鉄やバスの民営化、パチンコ課税の強化などで、効率的な行政やコストの削減につながると主張している

一方で「大阪維新の会」を除く野党各党は、府・市の協議で二重行政は解消できるとして、行政機構改編にはシステム改修など多額のコストがかかるのに財政効果が小さいなどと反対している

橋下徹・大阪市長(右)と松井一郎知事

●橋下氏はどうする?

今回の住民投票は事実上、橋下市長の今後を問う政局としても注目されている。橋下氏は2015年1月、テレビのインタビューに答え、賛成票が過半数に届かなかった場合、12月の任期満了を待たずに「政治家を辞めます」と明言している。しかし、賛成が上回れば12月の大阪市長選に出ることになる。維新の中には橋下氏に、国政転身を期待する声もある。

維新は上西小百合・衆院議員の問題などを受けて統一地方選でも伸び悩んだが、住民投票で賛成が上回れば橋下氏や維新の会の求心力は高まると予想され、安全保障法制や憲法改正などを巡って自民党と維新の連携が強まるとの見方も出ている。

●で、どうなりそうなのか?

報道各社の世論調査では、賛否は拮抗している。

4月4、5日に朝日新聞・朝日放送(ABC)が調査した結果は賛成39%、反対40%。2月の調査では賛成35%、反対44%で、賛成が増えたことになる。一方、産経新聞の同じ日の調査では賛成36.7%、反対47.5%で、1カ月前に比べ、反対が賛成を逆転した。

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