[ワシントン 20日 ロイター] - 米国家情報長官室は20日、国際武装組織アルカイダ指導者だったウサマ・ビンラディン容疑者が潜伏していたパキスタンの隠れ家から押収した資料を公開。同容疑者が米国への攻撃に固執していたことが明らかとなった。
ビンラディン容疑者が2010年7月にイエメンの「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」に宛てた書簡では、イエメン当局と停戦協定を結び、米国への攻撃に集中するよう求めている。
「アティヤ」と名乗るビンラディン容疑者の仲間が書いた書簡の要約には「その目的は米国内での攻撃に集中することであり、海外、特に産油国で世論をあおり、米国をアフガニスタンとイラクから撤退させることだ」と書かれている。
公開された資料のなかには、アルカイダとパキスタンの情報機関とのつながりを示すものも含まれていた。
工作員からビンラディン容疑者の偽名の1つである「アブ・アブドラ」に宛てられた2010年7月の書簡によると、アルカイダがパキスタンへの大規模な破壊攻撃を計画していたが中止したことをリークすると、パキスタンの情報機関は同国の過激派組織を通して、アルカイダと話をしたいとのメッセージを伝えてきたという。工作員はビンラディン容疑者に「パキスタンは本気なのか。それとも、ただふざけているのか」と尋ねている。パキスタンはアルカイダとの関係について、繰り返し否定している。
同容疑者の潜伏先からは、「アルカイダ治安委員会」との透かし文字が入った入会申し込み用紙とみられる文書も押収された。同文書は数ページに及び、志願者はコーラン(イスラム教の聖典)をどの程度暗記しているか、訪れた国はどこか、パスポートをいくつ持っているか、「自爆作戦」に興味があるか、などの質問に答えるようになっている。
そのほか、歴史家ポール・ケネディ氏著「大国の興亡」などの英語書籍や、2005年1月のロサンゼルス・タイムズ紙の記事「アルカイダは単なるブッシュのブギーマンか」なども、ビンラディン容疑者は所有していた。
関連記事