日本のサケ漁が不可能に ロシア、流し網禁止法案可決

ロシア上院は、日本の漁船も操業しているロシアの排他的経済水域でのサケ・マスの流し網漁を、2016年1月から禁止する法案を可決した。今後の日ロ関係にも影を落とす可能性がある。

ロシア上院は6月24日、日本の漁船も操業しているロシアの排他的経済水域(EEZ)でのサケ・マスの流し網漁を、2016年1月から禁止する法案を可決した。既に下院でも可決しており、プーチン大統領の署名を経て法案が成立すれば、日本の漁船は北洋でサケ・マス漁が事実上できなくなる。ロイターなどが報じた。

ロシアEEZでのサケ・マス漁は、毎年ロシア側と漁獲高を決め、一定の料金を支払ったうえで日本漁船にも認められてきた。日本はサケやマスをノルウェーやチリから大量に輸入しており、この水域での漁獲量は全体の4%程度と、国内市場への影響は限定的とみられる。しかし、北海道などの漁業関係者が受ける影響は、年間約250億円とみられており、今後の日ロ関係にも影を落とす可能性がある。

法案の共同提案者であるマトビエンコ上院議長は、「この法案は、日本に敵対するものではない。ロシア漁船も流し網漁が禁止される」と述べ、生態系の破壊を案じての法案だとしている。しかし、ウクライナ情勢を巡って「ロシアに制裁を科す日本への報復措置だ」とするロシア議員もいる。

日本側は、生態系の破壊とサケ漁の関係は、「科学的根拠がなく、長年の日露の協力関係を損なう」と主張し、安倍首相も24日、プーチン大統領との電話会談で漁業者の懸念を伝えたが、その4時間後には可決した。

【関連記事】

注目記事