ギリシャ、デフォルト危機 苦しさが分かる8つの数字

緊縮財政がギリシャに与えた8つの傷跡とは何か。今後さらなる困難が待ち受けるギリシャが、すでに陥っている現状をまとめてみた。
ATHENS, GREECE - JANUARY 21: A homeless man sleeps in a doorway on the streets of Athens ahead of this weekend general election on January 21, 2015 in Athens, Greece. According to the latest opinion polls, the left-wing Syriza party are poised to defeat Prime Minister Antonis Samaras' conservative New Democracy party in the election, which will take place on Sunday. European leaders fear that Greece could abandon the Euro, write off some of its national debt and put an end to the country's austerity by renogotiating the terms of its bailout if the radical Syriza party comes to power. Greece's potential withdrawal from the eurozone has become known as the 'Grexit'. (Photo by Matt Cardy/Getty Images)
ATHENS, GREECE - JANUARY 21: A homeless man sleeps in a doorway on the streets of Athens ahead of this weekend general election on January 21, 2015 in Athens, Greece. According to the latest opinion polls, the left-wing Syriza party are poised to defeat Prime Minister Antonis Samaras' conservative New Democracy party in the election, which will take place on Sunday. European leaders fear that Greece could abandon the Euro, write off some of its national debt and put an end to the country's austerity by renogotiating the terms of its bailout if the radical Syriza party comes to power. Greece's potential withdrawal from the eurozone has become known as the 'Grexit'. (Photo by Matt Cardy/Getty Images)
Matt Cardy via Getty Images

ギリシャに対する厳しい緊縮財政策をめぐって、同国の左派政権と債権団が対立している。

ヨーロッパ中央銀行(ECB)、ヨーロッパ委員会、国際通貨基金(IMF)のいわゆるトロイカは、ギリシャ政府に対し、さらなる救済資金が欲しければ財政改革を断行するよう迫っている。しかし、アレクシス・チプラス首相(40)が率いる急進左派連合(SYRIZA)は、経済と社会のセーフティーネットに大きな犠牲を強いてきた緊縮策を後退させることを約束、1月の総選挙で勝利した。

ギリシャは今、2008年の金融危機とヨーロッパ債務危機から続く何年にもわたる経済危機の後、再び金融混乱と先行き不透明の厳しい局面に立たされている。ギリシャは2015年5月、再びリセッション(景気後退)に陥った

ギリシャがさらなる危機に向かうなか、ここ数年、同国が体験してきたことを以下に述べる。

経済が4分の1も縮小

失業問題についての抗議行動を行う鉱山労働者たち。アテネで2015年4月16日に撮影。(AP Photo/Yorgos Karahalis)

ギリシャ経済は長年のリセッションで打ちのめされてきた。世界銀行によると、ギリシャの国内総生産(GDP)は、2008年の3540億ドル(約43兆円)から、2013年には2420億ドル(約30兆円)へ、と30%近く減少した。

100万人が失業

「永遠に閉店」と落書きされた店。アテネで2012年2月29日に撮影。 (AP Photo/Dimitri Messinis)

景気の後退は、雇用に大きな打撃を与えてきた。ギリシャの起業家支援団体「エンデバー・グリース」の推計によると、ギリシャでは、建設業や製造業、小売業を中心に、6年間で100万人の職が失われたという。「CNBC」が指摘しているように、ギリシャの総人口がわずか1100万人であることを考えると、これは衝撃的な数字だ。

4人に1人が失業

失業中のギリシャ人たちが、失業手当を受け取るために、国の労働事務所の前で長い列を作っている。アテネで2011年10月24日に撮影。(AP Photo/Thanassis Stavrakis)

ギリシャの失業率は今や、ヨーロッパ連合(EU)加盟国の中で最も高い。EUの統計機関ユーロスタットの最新の数字では25.6%に達し、ユーロ圏の平均失業率11.1%と比べると2倍以上に及んでいる。

こうした失業率の急激な上昇は、ここ数年でぐっと進行した。不況に見舞われる前の2008年の時点で、ギリシャの失業率は7.8%だった。

若者の半数が失業

スローガンを叫ぶ青年たち。アテネで2013年7月11日に撮影。(LOUISA GOULIAMAKI/AFP/Getty Images)

ギリシャではさらに、若者の失業率も、EU加盟国の中で2番目に高い(1位のスペインとはわずかな差だ)。ユーロスタットの最新調査では、15~24歳のギリシャ人の失業率は49.7%に達した。2008年の時点で、この数字は21.9%だった。

20万人超のギリシャ人が出国

EU側の緊縮策に抗議し、ギリシャの債務を帳消しにするよう求める人々。2015年6月23日、ロンドンで撮影。 (BEN STANSALL/AFP/Getty Images)

不況によって人材が大量に流出しており、教育を受けた若いギリシャ人の多くが、職を求めて国外に渡った。エンデバー・グリースによると、過去5年間で20万人超がギリシャを離れ、主にイギリスやドイツに向かったという。

最低賃金が「減少」したヨーロッパ唯一の国

零下近くまで下がった気温のなか、寝袋にくるまった男性が、壁画が描かれた前を通る。2012年2月1日、アテネで撮影。(AP Photo/Petros Giannakouris)

ギリシャ政府は2012年、金融支援の条件である財政緊縮策の一環として、最低賃金を約20%引き下げ、公務員の賃金を凍結した。

ユーロスタットのデータによると、2008年以降に最低賃金が引き下げられたヨーロッパの国は、ギリシャだけだという。チプラス首相率いる急進左派連合は、最低賃金の月額を、緊縮措置の前の水準である約750ユーロ(約10万円)に戻すことを選挙公約にしていたが、世界の債権国・機関からの圧力を受けて、この措置を延期せざるを得なかった。ユーロスタットによると、ギリシャの最低賃金は2015年1月時点で月給683.76ユーロ(約9万3000円)にとどまっている。

年金の大幅カットの中でも、大量の早期退職者

2015年6月29日、アテネにあるナショナル・バンク・オブ・グリースの支店の外で、年金の支払いを待つ年金生活者。 (ANGELOS TZORTZINIS/AFP/Getty Images)

ギリシャが公的部門の大幅な財政削減を図る中、膨大な数のギリシャ人が早期退職に応じた。このことで、すでに逼迫していた年金財政がさらに悪化している。

ギリシャはすでに、膨れ上がった高齢者に支払う年金の工面に苦労している状態だった。ギリシャの65歳超の高齢者人口は、全体の20%ほどにもなる。一方で、ギリシャの年金基金は、2012年の債務再編で何十億ユーロが失われた。「ニューヨーク・タイムズ」の記事によると、年金が最大で48%もカットされたケースもあるという。

ホームレスが急増中

ホームレスの男性が眠る。2015年1月21日、アテネで撮影。(Matt Cardy/Getty Images)

ある非営利団体の推計によると、ギリシャのホームレスの数は、2009年から2012年の間に25%増加したという。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:湯本牧子/ガリレオ]

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