ギリシャ政府は9日、新たな金融支援を受ける条件となる財政改革案を債権団に提出した。ギリシャ議会は10日に改革案を採決する。
ギリシャ政府は今回の改革案のなかで、2018年6月末までの3年間で535億ユーロ(約590億米ドル)の資金支援を要請。基礎的財政収支の黒字目標の見直しや、長期債務の「整理」などを求めた。
改革案では、島しょ部の優遇税制の段階的な廃止、海運会社の増税、国防費の削減、国有資産の民営化に向けた具体的な行程、ホテルやレストランの付加価値税(VAT、消費税)引き上げ、低年金受給者への上乗せ支給の削減などを盛り込み、債権団に歩み寄る姿勢を示した。
しかし、チプラス首相の連立相手の党首は改革案への署名を拒んでおり、ラファザニス・エネルギー相も署名しなかった。ギリシャ政権内部で依然として、改革への抵抗感が根強いことが浮き彫りになった。
ギリシャの政府関係者によると、10日のギリシャ議会での採決では、新規融資が実行される前にとる「事前措置」のリストについて、交渉する権限を政府に与えるかどうかに関するもの。その後支援合意がまとまれば、改革案を法制化するための採決を来週にも行う運びになる。
欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の3機関は10日夜までに改革案の1次評価を公表。十分な内容と判断されれば、11日のユーロ圏財務相会合で、新規支援についてギリシャと交渉に入るよう提言すべきかどうか決定する。決定には欧州安定メカニズム(ESM)の資本の80%に相当する国の賛成が必要だ。
欧州連合(EU)は12日首脳会議を合意の最終期限としている。
<焦点は債務負担の軽減>
焦点は債務負担の軽減措置を認めるかどうか。最大の債権国のドイツはこれまで、債務減免に強く反対してきたが、何らかの軽減措置もやむなしとの姿勢に傾いていることがうかがえる。
ショイブレ独財務相は9日、フランクフルトの会合で、ヘアカット(元本削減)は受け入れられないとの持論を展開したが、融資期間の延長や金利引き下げ、返済猶予期間の延長などの手段を通じて、ギリシャの債務を「組み替える」一定の余地があるとも述べた。
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