アメリカ陸軍のエリート訓練プログラム「レンジャー・スクール」は、前線で戦う兵士を養成するプログラムだ。この過酷なプログラムを、初めて2人の女性が突破した。
ワシントン・ポスト紙によれば、2人の名前はクリステン・グリースト中尉と、シェイン・ヘイヴァー大尉で、ほかの男性訓練生とともに8月21日にプログラムを完了する。
1950年に創設されたレンジャー・スクールは、訓練生たちを精鋭兵士に仕立てることを目的としており、過酷な内容で知られている。
2カ月間の訓練はジョージア州フォート・ベニング基地とフロリダの湿地帯で行われ、兵士たちは戦闘技術やリーダーシップスキル、また食料も睡眠時間も少ない状況で生き延びるためのサバイバル術を身につける。陸軍の統計によれば、男性兵士でこのプログラムを修了するのは約40%だ。
ロサンゼルス・タイムズ紙によれば、女性の訓練生受け入れが実験的に許可されたのは2015年の1月だ。しかし訓練を修了しても、女性兵士たちの前にはまだ性別の壁が立ちはだかっている。レンジャー・スクール修了生はふつう、陸軍の精鋭部隊であるレンジャー連隊や、過酷な戦闘に参加する歩兵師団、または前線での戦闘任務を志願する。しかし、USAトゥデイ紙によれば、これらの道は未だ女性兵士に閉ざされているという。
PFC. ANTONIO LEWIS/U.S. ARMY
しかし、今回女性がレンジャースクールを終了したことは、この状況を変えようとしているようだ。8月18日にアメリカ海軍作戦部長のジョン・グリナート氏が「女性であっても過酷なトレーニングプログラムを修了すれば、海軍のエリート部隊『ネービーシールズ』に入ることができるようにする」と発言した。
ニューヨーク・タイムズ紙によれば、2013年1月に当時のレオン・パネッタ国防長官が前線での戦闘任務を女性にも解禁する方針を正式表明して以来、アメリカの国防総省は軍での女性の役割を再検討してきた。
イラクやアフガニスタンでの戦場では、すでに多くの女性が前線での戦闘に加わっている。また、国防総省は、2016年までに前線での戦闘や精鋭部隊など、軍のすべての部門で女性を配属できるようにする計画を明らかにしている。
8月12日にはレイモンド・オディエルノ陸軍参謀総長が「軍の基準を満たした人は誰でも、特別任務につくことができるようにすべきであり、我々はそれを目指している」と述べている。
レンジャー・スクールを修了するグリースト中尉とヘイヴァー大尉に、陸軍特別部隊に加わる門戸が開かれる日もそう遠くないかもしれない。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]
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