韓国政府、産経の記事に削除を要求 何を問題視したのか?

韓国政府は9月1日、駐日韓国大使館を通じ、産経新聞社に対して記事の削除を求めた。
South Korean President Park Geun-hye speaks during a ceremony to celebrate Korean Liberation Day from Japanese colonial rule in 1945, in Seoul, South Korea, Saturday, Aug. 15, 2015. (Kim Hong-Ji/Pool Photo via AP)
South Korean President Park Geun-hye speaks during a ceremony to celebrate Korean Liberation Day from Japanese colonial rule in 1945, in Seoul, South Korea, Saturday, Aug. 15, 2015. (Kim Hong-Ji/Pool Photo via AP)
ASSOCIATED PRESS

韓国政府は9月1日、駐日韓国大使館を通じ、産経新聞社に対して記事の削除を求めた。産経ニュースが伝えた。

この記事は、産経ニュースがインターネットで配信した野口裕之・政治部専門委員の「米中二股 韓国が断ち切れぬ『民族の悪い遺産』」と題するコラム。

中国の抗日70周年軍事パレードに参加を表明するなど、アメリカの軍事同盟国ながら中国に接近する朴槿恵大統領を、近代の朝鮮王朝(李氏朝鮮)で日本人らに暗殺された王妃になぞらえ、「韓国は“国家”ぐるみの倒錯に痛痒を感じない。というか、倒錯への自覚・感覚がない」とこき下ろした。

李氏朝鮮(1392~1910年)も末期、清→日本→清→日本→ロシア→日本→ロシア…と、内外情勢変化の度に事大先をコロコロと変えていった。そのDNAを色濃く継承する韓国は、李氏朝鮮の再来を思わせる見事な「事大ブリ」を披露する。

李氏朝鮮には、朴大統領のような女性の権力者がいた。第26代王・高宗(1852~1919年)の妃・閔妃(ミンピ、1851~95年)である。

(いずれも【野口裕之の軍事情勢】米中二股 韓国が断ち切れぬ「民族の悪い遺産」 - 産経ニュースより 2015/08/31 06:00)

韓国外交部報道官は、「歴史の歪曲と歴史修正主義のDNAを持ち、過去の歴史について厚顔無恥な主張を繰り返す日本の特定の人物と、これにつながる報道機関のでたらめな記事について、政府レベルで論評する一考の価値も感じられない」「記事の内容も問題であり、またこういう記事を載せる報道機関も品格の問題がある」と強く非難した

韓国人にとって、大国の軍事力に翻弄されて国力を失い、日本の植民地となるこの時代は、屈辱の歴史として記憶されている。日本公使館焼き打ちの賠償金や、軍隊駐留権などを認めさせ、韓国で軍事力を背景にした対日不平等条約と認識されている1882年の「済物浦条約」を「日本公使館警備に向け」と説明したことや、閔妃暗殺に触れながら、日本公使の指示で日本人らが殺害したことに触れていないなど、一方的な史観にもとづいて書かれたという不満があるとみられる。

産経新聞は2014年に加藤達也・元支局長が書いたコラムを巡り「朴槿恵大統領の名誉を毀損した」とされ加藤氏が起訴され、韓国で裁判が続いている。特定の報道機関の記事が立て続けに外交問題に発展するのは異例だ。加藤氏のケースでは韓国内で「言論封殺」との批判も起きたが、今回は韓国メディアが一斉に「妄言」と伝え、政府の方針を批判する論調は見られない。

ある韓国メディアの日本特派員は「韓国内で激しい反日・反北朝鮮デモをしている高齢の保守・右翼的な人々が朴槿恵大統領の支持層だから、強硬な意見を無視できない事情はある。ただ、8月の安倍談話にいろいろ不満はありながら、日韓関係の改善を期待して批判のトーンを抑えた韓国政府にとってみれば『日韓関係に悪影響を与える』という面で無視できなかったのではないか」と分析している。

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