【新国立競技場】ザハ・ハディドの設計チームはキールアーチ変更も提案していた?

価格が上がり続けた本当の原因は……
Zaha Hadid Architects

アーチ構造が高コストにつながるとされ、白紙撤回となった新国立競技場の建設計画。しかし、ザハ・ハディド氏の事務所などからなる設計チームは、アーチ以外の構造も提案していたという。

この可能性について、9月9日、日刊スポーツが報じている。

前計画の設計関係者が日刊スポーツの取材に、昨年末から今年初めまでに設計側は複数のコスト削減案をJSCに提示していたことを明かした。施工業者が見積もった総工費の最大額が約3300億円にまで膨れ上がったためだった。

昨年末にはキールアーチの構造変更を提示。単一構造から、より安価なトラス構造(骨組構造の一種)への変更案を示した。今年に入り、開閉式屋根や座席空調の取りやめ、地下施設の面積の大幅削減などを提案していた。これらの提案が採用されていれば、設計チームの試算では1800億円台まで抑えられる計算だったという。結果的にそれらは採用されず、7月7日までに総工費が2651億円まで膨れ上がった。

ザハ氏新国立工費削減提案していた JSC採用せず - 社会 : 日刊スポーツ 2015/09/09)

白紙撤回時には、政府はザハ・ハディド氏の案が建築費高騰を招いたと指摘していた。それに対し、ザハ・ハディド事務所は「建築費高騰はデザインのせいではなく、設計前に施工会社を決めていたため、価格競争が働かなかった」と主張。さらに、ハフポスト日本版の取材に対しても「よりコストを落とした提案をたびたびしていたのに、受け入れられなかった」と回答している。

価格高騰の原因とされたデザインのほかに、さらに安価な提案が実際にされていたとすれば、8万人収容、開閉式屋根、可動式座席、ジムなど商業施設の併設などスポーツ界、エンターテイメント業界などからの要望を、調整せず詰め込んだ日本スポーツ振興センターの仕切りのまずさが露呈する形となる。

新国立競技場、ザハ・ハディド案

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