240メートルの津波がかつて発生した。研究者が証拠を発見

これは池袋のランドマーク「サンシャイン60」を飲み込む高さ。

かつて、高さ約800フィート (約240メートル) にもなる津波が発生したという証拠を、国際的な科学者のチームが発見した。

津波は、西アフリカ沖合にあるカーボベルデ共和国で7万3000年以上前に発生したと考えられている。原因は、同国にあるフォゴ山の斜面が海に向かって崩れ落ちたことだ。

フォゴ火山の東斜面が海中へと崩れ落ち、巨大な津波が引き起こされたと考えられている。島の東側には崩壊した斜面が写っている

この研究は、10月2日の金曜日にサイエンス・アドバンス誌で発表された。フォゴ山の崩壊で発生した津波は、30マイル(48キロメートル) 以上離れたサンチアゴ島まで到達し、巨大な岩をまるで小石のように動かしたと考えられている。

研究者によれば、理論上この巨大津波は再び起こりうる。

「標高が高く、斜面が急で、崩壊する危険がある不安定な活火山では、同じような津波が起こる可能性があります」と研究の主執筆者でコロンビア大学ラモント・ドハティ地質研究所の客員研究員リカルド・ラマーリョ博士は述べている。

「ファゴ山のように、山腹が崩壊してその後に巨大津波が続く現象を、我々は『低頻度・高被害型災害』と呼んでいます」と語った。「再発の可能性はとても低いですが、ゼロではありません」

フォゴ山の崩落で引き起こされた波は、これほど大きな岩をサンチアゴ島海岸からの高地へと移動させた。津波の発生日を特定するため、研究者がを岩をノミで採取している

津波の証拠とされたのが、サンチアゴ島の高地で発見された、配送用トラックほどの大きさの玄武岩と石灰岩だ。最も内陸で発見された岩は、海岸から2,000フィート (約610メートル)離れた場所にあった。

ところが岩には、発見場所より低い位置にある崖でできたという形跡が認められた。これは、岩が津波で高い場所に移動したことを示唆している。

津波の規模を推定するため、研究者たちは岩の移動に必要とされたエネルギーを計算した。そのために、まずは岩の表面を調査して、岩がいつから今の場所にあるのかを調べた。

共著者でラモント・ドハティ地質研究所の地球物理学者ギーゼラ・ウィンクラー博士によれば、全ての岩が同じ年代から現在の場所にあるとわかったという。

「このことは、岩が同じような過程を経て移動したことを示しています。その年代はファゴ山の崩落と一致しました」と、ウィンクラー博士は述べる。「年代が一致したことで、火山の崩落と巨大岩が結びつきました。とても興味深い一致です」

この結果から、巨大な津波によって崖の表面がもぎ取られ、現在の場所へ押し上げられたという結論に達した。

高さ800フィート (約240メートル) の津波が、海岸線から岩をもぎ取り、数百フィートも上に押し上げた

火山で発生した地滑りが、周辺の海域に津波を引き起こすということは、長年知られている。しかし中には、地滑りは段階的に発生するため、大津波ではなく小規模な津波が何回かにわけて発生すると主張する研究者もいる。

「研究は、火山の崩壊が巨大津波を引き起こして周辺に大被害をもたらす可能性を示唆しています。海に臨む火山の危険性を評価する際には、この点を考慮する必要があるでしょう」と、ラマーリョ博士は述べている。

火山の崩落が引き起こす巨大津波の動きをもっと調べる必要がある、と考える科学者もいる。崩落の可能性がある火山をどう監視するかについても同様だ。

「私たちは実際にこのような現象を目にしたことがないため、崩落がどのように起こるのかわかっていません」と、アメリカ・ワシントン州にある米国地質調査所の地球物理学者マイケル・ポーランド博士ネイチャー誌に語っている(ポーランド博士は研究には関わっていない)。

ウィンクラー博士も更なる研究が必要だと考え、次のように述べている。

「フォゴ山の巨大津波のような現象を理解することは、地球の仕組みと潜在的なリスクを理解するための第一歩です」

「山が崩落する仕組みや過程のように、我々がまだよく理解していないことがたくさんあるのです」

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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