三菱航空機が開発を進める国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)が、10月下旬に初飛行する。MRJは戦後初の国産プロペラ旅客機「YS-11」以来、半世紀ぶりの国産旅客機。初飛行は名古屋空港を離着陸し、約1時間を予定しているという。
産経WESTによると、愛知県営名古屋空港(豊山町)で中速の地上走行試験を7日に実施した。時速約30キロで数百メートルを走行。パイロットが実際に乗り込み、機体のブレーキ性能や方向転換など操縦性を調べたという。
■ジェット旅客機「MRJ」とは?
MRJの正式名称は三菱リージョナルジェット。その名の通り、三菱重工業のバックアップの元、子会社の三菱航空機が開発している。採算が取れず1973年に製造中止となったプロペラ機「YS-11」以来、約40年ぶりに製造された国産旅客機だ。全長は約35m。旅客機としては小ぶりだが、78〜92人の乗客を乗せることができる。最大巡航速度はマッハ0.78(時速830km)だ。
航続距離は最大3300kmで、東京からはグアム、台北、上海、北京をカバーできる。ヨーロッパやアメリカ合衆国では全域を飛行できる計算で、世界各国の大都市のハブ空港と地方空港を結ぶ「リージョナルジェット」の分野への参入となる。
小型機市場ではブラジルのエンブラエル社、カナダのボンバルディア社の2強が圧倒的なシェアを持っている。国家プロジェクトとして、日本政府も500億円の開発予算をつぎ込んだ「日の丸ジェット」が、どこまで世界市場に食い込めるか注目されている。
■相次ぐ開発延期を経て伸び悩んだ受注
当初の計画では2011年にMRJが初飛行、航空会社への納入されるのは2013年となるはずだった。しかし、3度にわたり開発スケジュールを延期したことで受注が伸び悩んだ。
しかし、2014年8月には、JALから新たに32機の受注を受けたことで、採算ラインとして設定していた400機を超えることになった。MRJの合計受注数は、確定受注223機、オプション160機、購入権24機の計407機となっている。
三菱航空機の森本浩通社長は6月のインタビューで、2017年4~6月期の初号機の納入を厳守する考えを示した上で「50年ぶりの国産旅客機なので、開発が思う通りにいかないのは現実だが、品質の高い機体を納め、顧客の信頼を得たい」と話している。
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