中台首脳会談は「密室政治そのもの」 台湾人の留学生たちが反対声明

中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統による初の中台首脳会談に対して、台湾人の海外留学生有志が11月8日、共同声明を発表した。
Chinese President Xi Jinping, right, and Taiwanese President Ma Ying-jeou, left, shake hands at the Shangri-la Hotel on Saturday, Nov. 7, 2015, in Singapore. The two leaders shook hands at the start of a historic meeting, marking the first top level contact between the formerly bitter Cold War foes since they split amid civil war 66 years ago. (AP Photo/Wong Maye-E)
Chinese President Xi Jinping, right, and Taiwanese President Ma Ying-jeou, left, shake hands at the Shangri-la Hotel on Saturday, Nov. 7, 2015, in Singapore. The two leaders shook hands at the start of a historic meeting, marking the first top level contact between the formerly bitter Cold War foes since they split amid civil war 66 years ago. (AP Photo/Wong Maye-E)
ASSOCIATED PRESS

中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統による初の中台首脳会談に対して、台湾人の海外留学生有志が11月8日、共同声明を発表した。首脳会談について「初めから密室政治そのもの」「台湾の未来を誤り導くことがないよう切望する」と強く反対している。

この会談では、一つの中国を認めるものの各自の解釈による国家名称を使う「九二共識」という合意を元に会談が実現した。この合意に対しても「歴史上存在しない政治的主張」と断じている。

台湾大学の学生によると、この共同声明は、日本、アメリカ、カナダ、ドイツ、オーストラリアなどの台湾人留学生がネットで協力して、3つの言語で記した。すでに3000人もの署名が集まっているという。共同声明の全文は以下の通り。

民意を無視した馬習会談への反対 台湾の主体性と民主を守る

海外台湾留学生共同声明

昨日(7日)、シンガポールにおいて馬英九総統と習近平主席の会談が開かれた。これは歴史上初の台湾と中国の指導者同士の対面でありヨーロッパ、アメリカ、日本など世界各地の留学生が強い関心を示すところである。そして台湾人留学生として今回の会談の結果に対して強く糾弾するとともに、ここに声明を発表する。

1. 不透明な会議への反対、民主精神違反

今回の馬習会談は、突然の開催決定についてその経緯や背景などが一切不透明で初めから密室政治そのものであった。会談の過程と社会の共通認識から見れば、馬総統は社会の普遍的共通認識の欠如と民意に基づく授権制度のもと、重大な外交行為を強行したと言えよう。

このような行為は民意を顧みないだけでなく、台湾民主政治のオープン且つクリーンな政治精神を著しく傷つけ、さらには台湾国民の権益を害するものである。この不透明な会議を強行する外交政策に対して我々は強く糾弾と反対の意を示す。

2. 馬習協議の拒絶、九二共識への反対

我々は中台双方が主張する「九二共識」は、台湾が主権を持つ独立国家であることを前提として説明するためのものではなく、同時にこのような「共通認識」は台湾と中国に一つの国と国の間の対話のもとに基本的な枠組み形成に大きな支障をきたすものであると考える。会談において馬習両氏が「九二共識」を交流の基礎とみなしていることに対し、我々は強く反対の意を表す。

我々は、馬習両氏の主張する「九二共識」は歴史上存在しない政治的主張であると捉えている。もし「九二共識」の存在が「一つの中国、各自解釈(一個中國、各自表述)」という前提のもとで成立したのであれば、馬総統は習近平主席との会談の際、なぜ「各自解釈(各自表述)」について触れなかったのか。また、馬英九総統が認識する「一つの中国(一個中國)」が意味するものは何であろうか。

さらには、なぜ「各自表述」の重要性について訂正或いは強調せず、中国側にのみ「一つの中国(一個中國)」の中身に関して一方的に述べさせてしまったのであろうか。我々は馬総統のこのような行動は一方的に現状を変えたにとどまらず、馬総統は台湾人民に対して十分な説明責任を果たすべきであると考える。

3. 共通認識なく、台湾の民意を裏切る

今回の馬習会談では、双方の共通認識が生まれたようであるが、しからば我々はこうした共通認識はまさに民意を裏切るものであり、それは特に馬英九・習近平の双方が所謂「九二共識」において発表した「民族復興」と「両岸同属中華民族」の概念であり、これに対し我々は強く糾弾と反対の意を示す。そして我々は台湾と中国は異なる国家構想を持っており、一名詞を以って共同的に概括することは不可能であると考える。

さらに、中国の考える双方の問題がまさに「中国人が自身で解決できる問題(中國人可以自己解決的問題)」であるか、或いは双方ともにこの基礎において平和と相互利益を作り出すことができると考えているかに関わらず、我々はこうした事実を顧みない政治レトリックを強く非難するとともに、馬英九・習近平双方ともに台湾と中国の為すべきことは両国間の国際問題であるという点を否定することはできないと考える。

同時に、中国は沿岸に配備したミサイルが台湾に向けたものではないと主張しているが、これは単に信用できないばかりか、アジア太平洋地域の安全に深刻な脅威をもたらすものであり、故に、今回の会談によって出された事実を無視した曖昧な結論に対しては、羞恥の念を覚えるとともに、強く反対の意を表明する。

4.過渡期における総統の混乱を招く外交政策に反対・民意の無視と誤り導く台湾の未来

馬習会談において双方は台湾海峡両岸商品貿易協定、事務所の相互設置、中国大陸客の台湾での乗り換え、アジアインフラ投資銀行(AIIB)などの議題について、今後大きな進展を遂げると表明したが、我々は前述の議題はまさに未来の台湾国家の発展に影響を及ぼす重要な議題であると考える。

馬英九総統の任期が残り半年と迫り、支持率が低迷する今日、馬英九総統には、台湾人民を代表し台湾国家の発展に影響する議題に重要な決定を下す権利は一切ないと考える。我々は、馬総統は自らの職務を全うし、歴史的功績を残すことに固執せず、彼自身の利益のために台湾の未来を誤り導くことがないよう切望する。

発起団体:

日本:知日台湾読書青年(東京、福岡、京都、愛知、神戸連合)、島弧黑潮、福岡葛瑪蘭(カマラン)勉強会、 愛故知新台湾青年会(愛知)、拿山瑪谷(ナセンマグ)東京勉強会

カナダ:Island Operationバンクーバー島外行動

米国:LA Taiwan Buzzロサンゼルス台湾勉強会、 哲学金曜日@ボストン

オーストラリア:島国連合INA

ドイツ:330フランクフルト行動組

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