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「生理で学校に行けない」ウガンダの少女たちを救った布ナプキンのはなし

世界に目を向けると、使い捨ての生理用品を使っている人は1割程度。ウガンダでは、月経が始まった女の子の約11%が性差別やいじめが原因で学校を中途退学している。
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世界中の女性たちが生理に悩まされている。

痛みやむくみなど、その悩みはさまざま。しかし、途上国では「生理用ナプキンが買えないこと」が最大の悩みだ。途上国では、生理用品が購入できないほとんどの女の子が、ボロ布や新聞紙、葉っぱなどを代用してしのいでいるという。

アフリカ大陸東部に位置するウガンダ共和国に暮らす15歳のキャサリンさんは、生理用ナプキンが買えず、ボロ布を代用している。「スカートに血がついてしまうことがあります。歩いているときにボロ布が外れてしまうことも多いです。学校でからかわれるのが嫌だから、生理中は学校には行けません」

16歳のモーリーンさんもボロ布を代用している。「私は15歳のときに初潮を迎えました。母には相談しなかったけれど、生理がきてとても驚きました。友だちに布を使うように教えてもらって、古いボロ布を裂いて使いました。布がズレたり漏れたりするのが不安で、生理中はへっぴり腰で歩いてしまいます」

女の子たちは、出血している間は外出せずに過ごすため、学校も休みがちになる。授業を受けられず、勉強に遅れが生じると男子よりも不利な状況に置かれる。途上国の女の子たちにとって、授業を欠席することは、少ない雇用の機会や社会的ネットワークから遠ざかる原因になってしまうのだ。

ウガンダでは生理についての理解が乏しいばかりか、生理中の女性に差別的な印象を持つ傾向にあり10代の女の子にとっては、大きなストレスとなっている。月経が始まった女の子たちの約11%が性差別やいじめが原因で学校を中途退学するという。

再利用できる布ナプキンが女の子を救う

途上国の女性たちを救う存在が、洗って再利用できる生理用の布ナプキン。

ウガンダで、生理1回(ひと月)分の使い捨てナプキンは、1万2000~1万5000ウガンダシリング(日本円で約600~750円)必要になる。ウガンダ統計局によると2009年の平均世帯月収が30万3700ウガンダシリング(約1万1000円)なので家計への負担も大きいことがわかる。

一方、布製のナプキンを年間で再利用した場合は、その3分の1ほどの3500ウガンダシリング(日本円で約200〜250円)程度。費用を抑えて、ボロ布よりもずっと衛生的な選択をすることができる。

緑と岩の多いウガンダ東部にあるトロロ村。ここでは、国際NGOプランが取り組む「保健衛生プロジェクト」によって、布ナプキンが作られ、学校に通う女の子たちに配布されている。

生理用品が配布されている学校では、女の子の欠席率が低下したことが報告された。もう誰も、生理がくることに動揺しなくなった。学校の先生はこう話す。「配布された布ナプキンを使用している女の子は、快適に過ごしているようです。彼女たちは、以前よりも走ったり、遊んだり体を動かすようになりました。学校を休まなくなったから、成績も上がりました」

学校を毎月休んでいたキャサリンさんとモーリーンさんも、布ナプキンを使うようになり終日学校にいて、授業が受けられるようになった。

布ナプキンの啓発活動から収入も得られるように

国際NGOプランでは、現在トロロ村をはじめとする多くの村でプログラムを実施している。生理用の布ナプキンの配布だけではなく、早すぎる結婚や性暴力、月経などの保健衛生に関する意識啓発を行う。こうした啓発活動は、女の子だけにとどまらず、男の子にも実施していることが大きな意味を持つ。男の子に理解を得ることで、女の子が学校に通いやすくなり、就学率も上がるからだ。

学校の教師であるラヴィッサ・ワンキャさんは、国際NGOプランが実施する保健衛生プロジェクトにおいて、生理用ナプキンの使用方法などの講習を受けた。さらに、彼女は約30人のメンバーとともに、プランが実施する職業訓練を受けて各自が生理用ナプキンを販売できるようにした。

生理用品が高くて買えない人たちに、安く、衛生面に優れた布ナプキンを広める活動を通じて、メンバー各自が収入を得られるようになった。

布ナプキンを購入したウィリアム・オキアさんは、5人の娘を持つ父親だ。「使い捨て用品だと、ひとつ35ウガンダシリング (2円弱)かかります。それが5人分ですよ。布ナプキンを使うことで、どれだけ節約できたかわかるでしょう」

製造工場が雇用を生み、子どもたちの未来を救う

布ナプキンが製造される工場では現在、100人の女性と数名の男性が働いている。その生産量は週に約700キット。

生産工場でドライバーを務めるジョセフ・ガブラさんの妻は、同じ工場の生産マネジャーを務めるアイリーン・ナカヤイマさん。彼女は工場に務めるまでは無職だったと話す。しかし、工場での仕事を得たことで、美容院を経営する夢を叶えることができたのだ。

「工場での仕事を得られたおかげで、美容院の道具も買うことができて、2人の親戚のための学費も払ってあげられるようになりました。私も家族も助かっています」

また、夫のジョセフ・ガブラさんは、社会行政の学位を取得することに成功した。「私たちは小さな土地を得て、そこに自分の家を建てることができました」

工場の品質管理室で働くローズ・ナルレさんは、子育てしながら日々の業務に励んでいる。「工場に勤務してから、私の生活は大きく改善しました。子どもたちがよりよい未来を得るために教育も受けさせることができます」

学校の授業を受ける女の子たち

使い捨ての生理用品を使っている女性は、世界では1割程度だという。日本人は当たり前に使っているが、世界的にみると実は高級品なのだ。

国際NGOプランは、貧困地域の中でも、底辺に置かれがちな女の子に目を向け、「Because I am a Girl」というグローバルキャンペーンを実施している。

生理を気にして学校に来ない女の子たちがもっと多く教育の機会を得て就学率が向上すれば、貧困問題を解決し、さらに、子どもたちが能力を発揮できる世界をつくることができる―――それが本キャンペーンの目的だ。ささやかな寄付によって、世界の女の子に「知識」という大きな力を届けることができる。

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