【アメリカ大統領選】党員集会、過去にはアイオワ州で大逆転のケースも 2016年の見どころ

のちの指名争いに与える影響は大きい。
ASSOCIATED PRESS

2016年アメリカ大統領選挙で、民主党、共和党の2大政党の候補者選びが2月1日、中西部アイオワ州の党員集会で幕を開ける。

投票は1日午後7時(日本時間2日午前10時)、州内1774の選挙区ごとに、学校体育館や図書館などの公共施設に両党の党員が別々に集まって評決する。州選出の代議員が夏の全国党大会でどの候補を支持するか、得票比率などに応じて決める。

アイオワ州に割り当てられた代議員数は、民主党が52人、共和党は30人。全国の代議員数(民主4763人、共和2472人)の1%前後に過ぎないが、夏の全国党大会まで続く予備選・党員集会のトップバッターであり、のちの指名争いに与える影響は大きい。2008年には、民主党の候補者で本命視されていたヒラリー・クリントン氏が初戦のアイオワ州でまさかの3位となり、バラク・オバマ氏が1位に。その後「オバマ旋風」がわき起こり、最終的にはクリントン氏との長い激戦を勝ち抜いた。

2008年1月3日、アイオワ州の党員集会で1位になったオバマ氏

予備選は有権者が投票用紙で投票するだけだが、党員集会は基本的にコミュニティーの集会だ。集会の参加者や、どれだけ多くの投票者を説得できたか、そして終盤の勢いが大きく左右する。

■共和党の場合

共和党の党員集会は比較的シンプルだ。共和党の候補者や陣営関係者が党員の投票前に演説をして支持を訴え、参加者は投票用紙に候補者の名前を書く。

世論調査は激しく移り変わっている。各種世論調査の数値を平均するHuffpost Pollsterによると、元脳神経外科医のベン・カーソン氏の支持率が劇的に下がり、テッド・クルーズ上院議員はトランプ氏と首位を争ってはいるものの、トランプ氏が再びリードを7ポイント差に広げた。

トランプ氏が勝利するためには、熱心な支持者が党員集会に参加するかどうかが鍵になる。最近のモンマス大学の調査では、アイオワ州の党員集会に「行きそうな党員」が投票すればトランプ氏の得票率は30%となり、クルーズ氏を7%リードする。しかし、実際に投票した経験があって登録を済ませた共和党員に限ってみると、逆にクルーズ氏が28%となり、トランプ氏を5%リードする。

2012年、アイオワ州の共和党の党員集会は終盤で大きく変動した。集会前はミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事が僅差でトップだったが、実際の集会後の投票では、直前の世論調査で支持率が急上昇していたリック・サントラム上院議員がわずかにロムニー氏を上回って1位になった

ハフポストUS版によると、今回、サントラム氏のような傾向を見せている候補はいないが、サプライズがないということにはならない。US版は「可能性は薄い」としながら、マルコ・ルビオ上院議員の存在を挙げている。トランプ氏やクルーズ氏より「エスタブリッシュメントな」候補者を好む人々の間で勢いを増している。

■民主党の場合

2008年1月3日、アイオワ州の民主党の党員集会

民主党の党員集会は、参加者が候補者ごとに区切られた区画を行き来しながら、候補者への支持を表明する。15%以上の参加者の支持を得られなかった候補者はふるい落とされる。ふるい落とされた候補の支持者は、別の候補の支持に回らなければならない。こうして、残った候補の支持者が、脱落した候補の支持者を獲得したり、中立の参加者を呼び込んだりしながら、支持を広げていく。

直近の調査では、ヒラリー・クリントン前国務長官と、バーニー・サンダース上院議員が大接戦になっている。6週間前は、クリントン氏が10%以上の安定したリードを保っていたが、2016年に入ってその差はわずか2%に縮まった。一方、元メリーランド州知事のマーティン・オマリー氏は4%だ。

サンダース氏の成功の鍵は、若い投票未経験者がどれだけ党員集会に表れるかだ。調査結果でも、若者にとてつもなく強いサンダース氏と、年配層に強いクリントン氏の違いは明確に表れている。

また、Huffpost Pollsterによれば、オマリー氏の支持は4%に過ぎず、最低ラインの15%に達しない。少数とはいえ、オマリー氏の支持者が誰に回るかによって勝敗の行方が左右される可能性もある。

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ヒラリー・クリントン 前国務長官(民主党)

米大統領選候補者の顔ぶれ(2016年)

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