「真田丸」の藤井隆、ドラマに不可欠な影の立役者に【忍者】

雲隠才蔵や由利鎌之助、石川五右衛門らとの血湧き肉躍る、夢の競演シーンも楽しみにしたいところだ。
Takashi Fujii during MTV Video Music Awards Japan 2005 - Press Room at Tokyo Bay NK Hall in Urayasu, Japan. (Photo by Nathan Shanahan/WireImage)
Takashi Fujii during MTV Video Music Awards Japan 2005 - Press Room at Tokyo Bay NK Hall in Urayasu, Japan. (Photo by Nathan Shanahan/WireImage)
Nathan Shanahan via Getty Images

藤井隆、『真田丸』佐助役で10年ぶりの連ドラ 不遇時代を抜け出す足掛かりとなるか?

役者それぞれの個性を活かした三谷幸喜の脚本で、主要キャストや端役はもとより、数回しか登場しない、いわばゲスト出演的なキャストにまで注目が集まっているNHK大河ドラマ『真田丸』。豪華絢爛なキャスト陣の中でも、物語の根底を支える重要なキャラクターであり、現在はまだ出演シーンは多くないもののしっかりとその存在感を印象づけているのが、真田家に仕える忍者・佐助(藤井隆)だ。

◆エンタテイナー・藤井隆の久々のドラマ出演

佐助は、草の者ゆえ、目立った活躍こそないものの、初回から主人公・信繁(堺雅人)の父・真田昌幸(草刈正雄)の命を受けては、出浦昌相(寺島進)に鍛えられた技で、立ちどころに敵方の内情を探り、真田一族のために暗躍を繰り返している。第3回「策略」では、信繁の生真面目な兄・信幸(大泉洋)にもひと芝居を打つなど、昌幸のしたたかな外交戦術に欠かせない、影の立役者である。

佐助は架空の忍者であるが、講談の立川文庫などによれば、真田信繁に見出されて「猿飛」の名字を与えられたとされている。いわば、信繁が大きな信頼を寄せる腹心。ドラマでもクライマックスの大坂の陣に向かって、今後ますます信繁の手足となり、信繁を影から支えていくはずだ。物語の展開のなかで不可欠な重要な役どころとなり、この先、佐助がフィーチャーされる回もあることだろう。

そんな佐助を演じているのは、歌って踊れるエンタテイナー・藤井隆。忍者界のヒーローとして、猿とつながって深い谷を飛び、スイカの種を自在に操り、風のような素早さで急所を打っては何十人もの敵を気絶させるような軽妙洒脱な忍術シーンや、雲隠才蔵や由利鎌之助、石川五右衛門らとの血湧き肉躍る、夢の競演シーンも楽しみにしたいところだ。

藤井にとっても『真田丸』は久々の連続ドラマ出演となる。これまでにもスペシャルドラマなどの出演こそあったものの、レギュラーとしての連続ドラマ出演は、主演を務めた『都立水商!』(日本テレビ系/2006年)以来、実に10年ぶりとなる。朝の連続テレビ小説『まんてん』(2002年)や『乱歩R』(日本テレビ系/2004年)などでの味のある存在感が記憶に残るが、ドラマ出演数自体それほど多くはない。大河ドラマも、本作が初出演となる。

◆これまでとは異なる骨太の役者の雰囲気

そもそも藤井は、吉本興業所属の芸人。吉本新喜劇でオカマキャラとしてブレイクした後は、HOT! HOT!ダンスなどのハイテンションな芸で一世を風靡し、さらに人当たりと勘の良さを活かして、司会業やタレント活動でその才能を開花させていった。しかし、“マシュー南”のキャラクターで人気を集めたころに比べると、近年はテレビから遠ざかっていた印象もある。最近とくに力を入れているもののひとつは、演劇だろう。2009年からコンスタントに出演を続けている舞台では、野田秀樹や鴻上尚史ら、そうそうたる演出家の作品に参加。『桜の園』(2012年)『酒と涙とジキルとハイド』(2014年)と三谷幸喜演出の舞台にも立った。

一方、2000年に朝倉大介プロデュースの「ナンダカンダ」での歌手デビュー以来、ソングライターとして高い評価を受けてきた音楽活動も、近年ますます充実している。2014年には、音楽レーベル「SLENDERIE RECORD」を設立。日本を代表する歌姫・松田聖子をはじめ、マルチタレントのYOUやヒップホップグループ・ライムスターの宇田丸らから楽曲提供を受け、昨年およそ11年ぶりにアルバム『Coffee Bar Cowboy』をリリース。ドラマの撮影が行われる現在も、定期的にライブ活動が行われている。

お笑い芸人の枠を飛び超え、吉本きってのアーティスト芸人として唯一無二のポジションを確立した藤井。ももクロへの楽曲提供などで知られるアーティストのヒャダインや直木賞作家の朝井リョウなど、いまをときめくクリエイター陣のなかにも、熱烈な藤井のファンは多い。

そんな藤井の久々のドラマ出演は、大河ドラマという大舞台で、主人公を影から支える物語のキーになる役どころ。すでにオンエアされている回で醸しだしている雰囲気は、これまでの藤井とは異なる骨太の役者の空気をまとっており、ぱっと見では藤井と気づかない人もいるかもしれない。そんな役者・藤井の才能を引き出す作品、役柄との出会いは、彼の俳優再起の気運が高まっていることを感じさせる。幅広く愛される芸風と、近年の舞台や音楽活動で磨き上げた技を活かして、映画『カーテンコール』(2005年)での名演を凌ぐ、俳優としてのさらなる飛躍に期待したい。

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