毎日小さなカップで6杯のコーヒーを飲むことで「多発性硬化症」(MS)の発症リスクを抑えることが可能だという研究結果が出た。
毎日、900ml以上のコーヒーを飲むと、リスクは3分の1まで減らすことができるという。
イギリスで10万人以上の人が多発性硬化症にかかっているが、原因ははっきりと分かっていない。
研究者グループは、「この研究は、どのように健康が阻害されるのかを調査する将来の道を切り開いた」とコメントした。
MSは、脳や脊髄、視神経のあちこちに病巣ができ、様々な症状が現れる病気だ。発症により視力、腕や足の動き、知覚やバランス感覚に問題が生じることがある。
極端なケースでは、深刻な身体障害を引き起こすことがあるが、そこまでに至らない場合もある。
イギリスの国営医療サービス事業「NHS」(国民健康保険)によると、20〜30代でMSと診断されるケースが多いが、どの年代でも発症の可能性はある。発症する割合は、男性に比べて女性は2〜3倍多い。
ストックホルムのカロリンスカ研究所、メリーランドのジョンズ・ホプキンス大学、カリフォルニア大学バークレー校の研究者グループは2つの研究に注目した。
1つ目はスウェーデンの研究で、MS患者の成人1620人とMS患者でない2788人の比較グループが参加した。
2つ目はアメリカの研究で、MS患者の1159人とMS患者でない1172人が参加した。
どちらの研究も、参加者はコーヒーの消費量や、どれくらいの期間コーヒー飲んでいるかなどについて質問を受けたという。
研究者グループは、MSを発症した人々の発症の初期のコーヒー摂取量、そして発症前のコーヒーの摂取量を試算し、健康なグループと比較した。
結果として、MSの発症リスクは、一貫して「毎日コーヒーをほとんど飲まない人」の方が高いことが両方の研究で示された。他の要因が研究結果に影響を及ぼすことを考慮しても、その結果は変わらなかった。
スウェーデンの研究では、症状の初期や発症の5〜10年前からコーヒーを飲むことは、多発性硬化症のリスクを下げることと関係があったという。
毎日小さなカップで6杯(900ml)以上飲む人では、コーヒーを全く飲まない人々と比較して、28〜30%リスクが下がることが分かった。
アメリカの研究でも同様の結果が判明し、発症の5年以上前から、そして発症の初期に毎日948ml以上飲んでいた人はリスクが26〜31%低かった。
神経学、神経外科、精神医学の専門誌の筆者らは、この研究が「観察研究」であるため、原因と効果について確固たる結論を引き出すことはできないと示した。
しかし、彼らはこう結論した。「コーヒーの飲み始めたのが発症時か、発症の5〜10年前かに関わらず、コーヒーの消費量が多いとMSのリスクが低くなることが観察された」
動物を対象に行ったMS研究でも、コーヒーの消費量の高さが発症のリスクを低下させる可能性があるようだ。
MS学会で臨床試験の責任者を務めるエマ・グレイ博士はこうコメントした。「この研究により、MSのリスクとコーヒーの消費の関係は、より詳しく調査する価値があるという新たな証拠ができました」
「この分野で、もっと多くの研究がなされる必要があります。我々は、MSのリスク要因についての様々な研究を歓迎します」
この記事はハフポストUK版に掲載されたものを翻訳しました。
【関連記事】
▼写真をクリックするとスライドショーが開きます▼
ハフポスト日本版ライフスタイルはTwitterでも情報発信しています。@HPJPLifestyle をフォロー