アフリカ最貧国で850件の児童婚を止めさせた女性がいる。どうやって子供たちを救っているのか

「子供たちは学校に行かなければいけません。学校のある時間に家事をすべきではないのです」
UN WOMEN/RYAN BROWN

大陸南東部に位置するマラウイ共和国で、児童婚を防ぐ新しい法律をつくり、実行している女性がいる。

マラウイには28の行政区がある。その一つ、中部デッザ県で2番目の地位にあたる「シニア・チーフ」を務めるテレサ・カチェンダモトは、12歳の少女たちが赤ちゃんをおんぶしながら歩く光景を何とかしたいと思っていた。自分が管轄するエリアでの児童婚を止めさせるため、彼女は部下50人の署名を集めた、とアルジャジーラが伝えている

「『あなたたちが好む好まないに関わらず、こんな結婚を辞めさせたい』と伝えました」とカチェンダモトは語っている。

しかし彼女はそれで満足しなかった。マラウイのニュースサイト「ニアサ・タイムズ」によると、地域の指導者たちに命じてすでに結婚していた児童婚夫婦を終わらせ、子供たち全員を学校に戻したのだ。

2015年から、マラウイでは18歳以下の結婚が法律で禁止されている。しかしこれには抜け道がある。親の同意と地域の伝統的な指導者たちの監督があれば、子供たちは結婚できるのだ。

4人の男性チーフが児童婚に賛成したが、カチェンダモトは彼らを停職処分にし、児童婚の無効を認めるまで仕事に復帰させなかった。

「最初は大変でしたが、今ではみんな理解してくれています」と彼女は話している。

子供たちが学校を辞めさせられないようにするため、カチェンダモトは親たちによる秘密の見守りネットワークをつくっている。親が学費を払えない子供たちがいれば、彼女が自費で払うか、払う余裕のある人を探す。

「幼い子供たちを結婚させたくありません。子供たちは学校に行かなければいけないのです。学校のある時間帯に家にいたり、家事をしたりすべきではありません」と、カチェンダモトは男女平等や女性を支援する組織「国連ウィメン」に語っている。

そしてこの3年で、彼女は850件の児童婚を止めさせた。

2006年にマラウイの貧しい村で結婚式を挙げた16歳のスザナ・ナバンダ。彼女は農夫と結婚した。

マラウイは、世界でも児童婚の割合が高い国の1つだ。児童婚廃止を目指す団体「Girls Not Brides(少女は花嫁ではない)」によれば、18歳以下の少女2人に1人が結婚すると言われている。児童婚は少女の成長に悪影響を与える。教育を受けられなくなるだけではなく、DVや若年妊娠のリスクを高める

ユニセフによると、デッザのような貧しい田舎の地方では児童婚の割合が特に高く、持参金と引き換えに娘を結婚させないよう親を説得するのが難しい。

カチェンダモトは、そういった家庭に助けの手を差し伸べている。彼女は国連ウィメンにこう語っている。

「私は親たちにこう言うんです。あなた方が娘さんに教育を受けさせれば、将来何でも手に入りますよ」

ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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