"走るスーパーマーケット"が、企業の利益を貧しい地域に還元。どうやって?

「お金がなくて新鮮な食べ物が買えない」を解決するバス。
MARCUS STABENOW / ST. LOUIS METROMARKET

アメリカ・ミズーリ州セントルイスを、新鮮な食品を載せたカラフルなバスが走る。

バスの名前は「セントルイス・メトロマーケット」。「カブ1号」の愛称でも知られる移動式のファーマーズマーケットだ。地元の農家や菜園で作られた、新鮮な果物や野菜、肉、乳製品、パンを販売している。

車内の広告スペースには生産者情報が貼ってあり、外では、スタッフやボランティアが食品の栄養情報を教えたり、調理方法を紹介したりする。

MARCUS STABENOW / ST. LOUIS METROMARKET

しかし、メトロマーケットはただの移動式ファーマーズマーケットではない。

「注目してほしいのは、バスを使った食品販売という物珍しさではありません」と話すのは、メトロマーケットの立ち上げメンバーで、セントルイス大学の医学生ジェレミー・ゴスさんらだ。

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このバスの素晴らしい点は、行き先にある。セントルイスのスーパーマーケットがない地域にある、企業や低所得地域に向かうのだ。

ゴスさんたちは、セントルイスの全ての地域にスーパーマーケットがないことを不満に感じていたという。そこで、補助金と寄付金、セントルイス地下鉄から無償提供されたバスを使って、この非営利の事業をスタートさせた。

それにしても、なぜ向かう先が企業と低所得地域なのか? そこに、この走るスーパーのユニークさが隠れている。

MARCUS STABENOW / ST. LOUIS METROMARKET

メトロマーケットで買い物するには、150ドルの「フレッシュパス」という会員権が必要なのだが、この会員権が免除される条件が2つある。一つは、企業が年会費を払う場合、もう一つは貧困ラインを下回る生活をしている場合だ。

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メトロマーケットは、企業が支払ったお金で、低所得者の費用をまかなう。ゴスさんいわく「企業で得た利益を、低所得地域で還元する」わけだ。1つの企業が、おおよそ1つの低所得地域分に相当する補助金をサポートする。

また、購入価格も異なる。法人会員は小売り価格で買い、所得が低く普段は質のいい食べ物が買えない人たちは、原価で購入できる。

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今のところ、メトロマーケットと提携している企業は、この取り組みを社会的な使命の一つだと受け止めていて、なかには従業員がボランティアをする企業もある。カーディナル・グレノンこども病院は、こんなユニークな貢献をしてくれている、とゴスさんが説明してくれた。

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「医師たちが、空腹を訴える患者たちを診察します。そして、患者に栄養が必要と診断すれば、果物や野菜を使った処方箋を出します」

ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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