草刈正雄の魅力とは 真田昌幸役で若者にも人気「えらいことになった!」

大河ドラマ『真田丸』(NHK総合)の真田昌幸役で注目を集め、バラエティ番組やイベントへの出演が相次ぐ草刈正雄の人気が急上昇しているのは周知の通り。
NHK「真田丸」公式サイト

草刈正雄、ギャップ萌えで若者から注目集める “男前だけどお茶目”キャラ浸透

大河ドラマ『真田丸』(NHK総合)の真田昌幸役で注目を集め、バラエティ番組やイベントへの出演が相次ぐ草刈正雄の人気が急上昇しているのは周知の通り。『真田丸』では戦国時代を生き延びるために手段を選ばない二枚舌の天才武将を、愛らしく、コミカルに演じている草刈だが、先日の『鶴瓶の家族に乾杯』(NHK総合)でもダジャレを連発したり、『ニコニコ超会議2016』に君臨した際には、歓声が上がる中、『真田丸』の名ぜりふ「えらいことになった!」を披露してさらに会場を沸かせるなど、二枚目の大物俳優なのに気さくでちょっとお茶目というギャップで、若者にまでその人気を広げているようだ。

■“二枚目”だからこその苦労 氷河期を超え『真田丸』を脚光

もともと草刈は、モデルとしてスカウトされ、17歳で福岡より上京。すぐに資生堂初の男性化粧品ブランド『MG5』のCMに抜擢され、大ブレイク。長身で甘いルックスから「和製アランドロン」とも呼ばれ、以降、数々の映画やドラマに出演してきた。しかし、今の地位を築くまでには苦労も多かったことでも知られ、アメリカ軍人だった父親は自分が生まれる前に戦死したと母親から聞かされ、草刈は母子家庭で成長。中学3年まで新聞配達をし、卒業後は昼間は工場や本の訪問販売等さまざまな仕事をして家計を助けながら、夜間高校に通学。学校が終わった後も朝までスナックで皿洗いのバイトをしていたという。

さらに、デビューしてからも「壁にぶつかり続けてきた」ことも明かしている。資生堂のCM以降、ドラマ『華麗なる刑事』(フジテレビ系)、映画『汚れた英雄』等話題作の主演に次々と抜擢され、「元祖二枚目俳優」として名を馳せていただけに、その俳優人生は順風満帆なものだったと想像しがちだが、本人は、常に「二枚目のレッテルから外れたいという思いがあった」と言うのだ。

また、芝居の基礎を学んでいないことへのコンプレックスもあったという。さまざまインタビューで、草刈は27歳のとき、大女優・沢村貞子に「『あなたは見てくれがいいんだから、人の三倍頑張りなさい』と言われたことが今も頭に残っている」と語っている。容姿は年齢とともに衰えてくる。演技力がなければ俳優の仕事を続けていくことはできない。その言葉通り、30代半ばからは主役の仕事が激減し、40歳くらいまで草刈は「氷河期だった」と言う。しかし、それでも俳優をやめず、腐ることもなく、舞台へと活動の場を広げていった。沢村の言葉を胸に、前向きに、今できることに対して精一杯努力を積み重ねたからこそ、今の存在感が生まれたのだ。

■二枚目なのにお茶目、若い女性が“ギャップ萌え”

そして、転機は訪れた。昨年は『民王』(テレビ朝日系)で女子大生の娘と魂が入れ替わる政治家の役を、さらに今年は『真田丸』でひとクセもふたクセもある戦国武将をユーモアたっぷりに熱演し、再びブレイク。ネット上では「草刈パパ最高!」等称賛の声が多数あがるなど、若者たちからも熱い支持を受ける存在になった。ひとたびイベントなどに出演すれば、周囲も驚くほどの盛り上がりを見せ、その予想外の人気に制作側も驚きを見せているという。また、『真田丸』関連の番組出演も増えており、『鶴瓶の家族に乾杯』での地元の人たちに気軽に声をかける姿や、さらりとダジャレを言ってみせるなど、バラエティ番組での気取らず気さくな素顔も話題となっている。

「昨今、芸能界の年の差婚カップルが話題となるなど、いわゆる“おじさん”に惹かれる若い女性が増えていますが、そんな女性たちにとって草刈さんはまさに理想のオジサマといったところでしょう。年を重ねてますますダンディな魅力が増しているのに、意外と気さくで気遣いができ、時々お茶目な顔も見せてくれる。その“ギャップ”に若い女性が夢中になるのもうなずけます。年上好きの理想のオジサマ像を、まさに具現化した存在なんですから」(女性誌編集者)

現在放送中の『ミスタードーナツ クロワッサンマフィン』でもMr.オールドファッションに扮し、若い女性たちからも“萌える”と熱烈な支持を受けている草刈。「正統派二枚目俳優」から「二枚目なのにお茶目」なキャラで再ブレイクともいえる今、まだまだ多方面からの需要は増えていくことだろう。草刈は真田昌幸と自分が似ている点を「田舎のおじさんなところ」「勘だけで生きているところ」と語り、さらに自身を「ものぐさでぐうたら」と評していたが、常に等身大の自分であろうとするその姿勢と、酸いも甘いも味わいながら積み重ねてきた数々の経験が根底には生きている。だからこそ、還暦を迎えた今も抜群のルックスを持ちながらも、どこか身近な温かみや親しみやすさを感じさせるのだろう。

(文/河上いつ子)

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