【オーランド銃乱射事件】全米ライフル協会(NRA)がオバマ大統領を非難、銃規制は「何の効果もない」

ひょっとすると、オーランドの銃乱射事件が変えるきっかけになるかもしれない。
Republican presidential candidate Donald Trump speaks at the National Rifle Association convention, Friday, May 20, 2016, in Louisville, Ky. (AP Photo/Mark Humphrey)
Republican presidential candidate Donald Trump speaks at the National Rifle Association convention, Friday, May 20, 2016, in Louisville, Ky. (AP Photo/Mark Humphrey)
ASSOCIATED PRESS

フロリダ州オーランドの同性愛者向けナイトクラブで49人が殺害された事件に関して銃規制の声が再び高まる中、これまで公式の声明を発表していなかった全米ライフル協会(NRA)が6月13日、沈黙を破った。NRAは自動小銃などの武器(アサルト兵器)の販売を取り締まるよう訴える呼びかけを「見え透いた"ヘッドフェイク"(アメフトのフェイント攻撃で、騙すことを指す)」だと表現した。

NRAロビー担当ディレクターのクリス W. コックス氏はUSAトゥデー電子版に13日掲載された論説で、オバマ大統領と次期アメリカ大統領選の民主党候補指名を確実にしたヒラリー・クリントン前国務長官が表明したアサルト式兵器の入手を制限する方針を以下のように非難した。

「彼らは必死になって、国民をを守るために何かしているような幻想を作ろうと躍起になっている。なぜなら、彼らの政策では、安全は実現しないからだ。今も、これからも」「アメリカ人はみんな、この見え透いた”ヘッドフェイク”を警戒すべきだ。なぜなら、次の銃撃事件を防ぐことには全く貢献しないからだ」と、コックス氏は述べている。

コックス氏は「イスラム過激派」打倒を呼びかけ、過激派の活動を「起こるべくして起こったヘイトクライム」だと表現した。また、コックス氏はオバマ政権を非難し、「政治的公正」の方針があるが故に、「オーランド銃乱射事件の容疑者は、かつて警備員として働いていた職場で黒人や女性、レズビアンやユダヤ人といった人たちを脅すような発言をしても処罰を免れることができた」という意見を表明した。

過激テロ犯を壊滅すべきだ。しかし、法に従っているアメリカ人が自分たちを守る権利を損なう手段を用いてはならない。-クリス・コックス

ビル・クリントン政権下の1994年に施行されたアサルト兵器規制法は2004年に失効し、カリフォルニアなど州レベルでの銃規制法も抑止力としての機能をほとんど果たしていない (銃産業は抜け道を作り、州レベルでの禁止に抵触していない) とコックス氏は指摘した。こうした武器の販売を抑止する努力は、「法に従うアメリカ人が自身を守る権利を損なう」とコックスは述べている。

しかし、コックス氏が言及しなかった点がある。FBIの調査によると、アメリカで1980年から2005年までの間に実行されたテロ攻撃のうち、94%がイスラム教徒以外の手によるものだ。欧米諸国中、1人あたりの銃保持数はアメリカが最大であり、銃による1日あたりの殺人件数は群を抜いて多い

オバマ大統領はこれまで、銃を所有する権利を剥奪する意図はなく、大量殺戮を引き起こす兵器のみを制限する、と発言してきた

ハフポストUS版のニック・ウィングとモリー・レイリーが述べているように、アサルト兵器は戦場で使用されるものだ。効率的な殺戮を可能にするよう設計されており、大規模な銃撃を狙う人間が、こぞって手に取る銃器となっている。

NRAの論説は、USAトゥデー論説委員会による批判的な論説と一緒に掲載された。後者は、アサルト兵器は「多くの州で合法的に、そして容易に入手することができる」と指摘している。USAトゥデーはこうした兵器が禁止されるべきだと訴えており、銃のロビイストに対し「合理的な変化を起こす邪魔をしている」と厳しく非難した。

「アサルト兵器がアメリカ国内に大量に存在し、簡単に入手できることで、大規模銃撃犯たちにとって有利な環境を作っており、アメリカにとっての最悪の敵をも助ける形となった」とUSAトゥデーの論説は述べている。

コネチカット州の小学校で銃乱射事件が起こった後、2013年には銃法制を改正する法案が上程されたが、下院で廃案となった。2015年12月の世論調査では、アメリカで銃規制を支持するのは45%と、過半数に満たない。

ひょっとすると、オーランドの銃乱射事件が変えるきっかけになるかもしれない。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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