高浜原発1・2号機に運転延長許可 40年超の老朽化原発で初

原発事故の教訓から、運転期間を原則40年に制限する新規制基準が適用されて以降、老朽原発で審査に合格し延長が許可されたのは初めて。

運転開始から40年を迎えた、関西電力高浜原子力発電所1・2号機(福井県高浜町)について、原子力規制委員会は6月20日、運転を最長20年間延期することを全会一致で認めた。原発事故の教訓から、運転期間を原則40年に制限する新規制基準が適用されて以降、老朽原発で審査に合格し延長が許可されたのは初めて。NHKニュースなどが報じた。

■再稼働は2019年目指す

関電は2015年に1・2号機の延長を申請していた。今回の許可を受けて、1号機は2034年11月、2号機は2035年11月まで運転できる。関電は原子炉建屋の改修工事などを終えたうえで、2019年10月以降の再稼働を目指している

NHKなどによると、規制委は2016年4月、新基準の審査で最大の焦点だった電気ケーブルの防火対策など、見直された安全対策の方針が新しい規制基準に適合していると認めた。加えて、6月には設備の耐震性などが審査される「工事計画」を認可した。

6月20日の会合では、施設の劣化状況を評価する「運転期間延長認可」について議論が行われ、一部の配管が劣化して薄くなると耐震基準を下回るため、補強工事を行うことなどが報告された。

■40年ルールとは

原子炉等規制法は、核燃料物質や原子炉の利用や定めた法律。福島第1原発の事故後、2013年に改正施行された新基準では、原発の運転期間は原則40年と定められた。例外として、安全審査や延長認可審査で規制委が合格と認めれば、1回に限り最長20年運転延長できる。

高浜1・2号機は、既に運転開始から40年を超えたが、新基準は施行から3年の猶予期間があるため、7月7日が延長認可手続きの期限だった。

運転開始から40年前後が経過した原発のうち、これまでに6基の廃炉が決まっている

■例外認めルール「骨抜き」との批判も

今回の延長許可手続きをめぐっては、批判も出ている。毎日新聞によると、規制委は運転延長のための工事計画において、耐震診断を実施して許可を得る手続きの一部について、締め切り期限だった7月7日以降に先送りすることを認めた。

延長申請をめぐって、2016年4月、運転期間を延長する認可をしないよう国に対して求める行政訴訟を福井県などの住民グループが名古屋地裁に起こしている。弁護団は今回の審査に対して、「本来行うべき蒸気発生器の加振試験を工事計画認可に基づく工事完了後に行うことにするなど、認可を期限内に通過させるための恣意的な審査と言わざるを得ない。40年ルールを実質的に骨抜きにするものであり,極めて問題がある」との声明を発表している。

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