鳩山由紀夫氏、弟・邦夫氏の死を悼む 「ラーメン屋にこっそり二人で」(コメント全文)

「何事も兄を追い越していた弟でしたが、人生まで追い越すとは……」
時事通信社

鳩山邦夫元総務相が十二指腸潰瘍で死去したことを受け、兄の鳩山由紀夫元首相は6月22日にコメントを発表した。

由紀夫氏はコメントの中で、最後の会話が東京都知事選(7月14日告示、31日投開票)への出馬打診だったことなどを明かした。幼少時には共に昆虫採集を楽しんだことや、学生時代に屋台のラーメン屋に二人でこっそり食べに行った思い出などを回顧。「何事も兄を追い越していた弟でしたが、人生まで追い越すとは兄として寂しい限り」と、兄として亡き弟を悼む言葉を綴った。

衆議院本会議前に談笑する鳩山由紀夫前首相(右)と鳩山邦夫元総務相(撮影日2010年11月30日)

コメントの全文は以下のとおり。

弟邦夫の突然の訃報を聞いて、大変に驚いております。

3年前に母が亡くなりましたが、まさかこんなに早く邦夫まで逝ってしまうとは信じられません。二週間ほど前に、都知事選に弟の出馬を期待している方がおられたので打診をしたのですが、「今はその気はないよ」との返事でした。それが弟との最後の会話になってしまいました。何事も兄を追い越していた弟でしたが、人生まで追い越すとは兄として寂しい限りです。

私たち兄弟は小中学の頃は小児喘息持ちで、当時は運動が嫌いで、母が心配して家庭教師を私たちにつけてくれたのですが、その先生が勉強よりも野球や昆虫採集を教えてくれました。邦夫が蝶の権威になったのはそれがきっかけでした。料理もプロ並みでしたが、大学生の頃、勉強が終わると台所で餃子を皮から作って食べさせてもらったり、屋台のラーメン屋に家を二人でこっそり抜け出して食べに行ったり、本当に仲の良い兄弟でしたが、常に弟のほうが積極的でした。

また、弟は幼稚園の頃からオーパパ(一郎)の跡を継ぐのは自分だと言って、その通り、田中角栄先生の門下生となり、政治家になりました。政治嫌いの私が政治の世界に入るとき、派閥の違う私を角栄先生の下に連れて行ってくれました。

言うまでもなく、弟は私にとって政治家の先輩であり、運命のいたずらで時には意見を異にすることがありましたが、内向的で自己表現がうまくない私にとっては、常に目標であり自慢の存在でした。主要閣僚を歴任し、また蝶を愛し自然を愛する弟が、より高い立場から日本の将来や環境問題などに真剣に取り組んでくれることを期待していただけに、残念でなりません。

今は政治一筋に生きてきた弟が、政治という責任から身も心も解放され、安らかに永眠することを祈っています。

鳩山 由紀夫

■料理、チョウの採集…多彩な趣味人だった邦夫氏

邦夫氏は、料理やチョウの採集など多彩な趣味人として知られた。「ホリエモン」こと堀江貴文氏に料理をご馳走する約束もしていたという。

愛犬家としても知られ、公式サイトでは「ジャムと私」と題して、愛犬への想いを書き綴ったエッセーを公開していた。

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