沖縄県で元米軍属の男が女性を殺害したなどとして起訴された事件を受け、日米両政府は、日本に駐留する米軍関係者の地位や犯罪の取り扱いなどを定めた日米地位協定の対象となる軍属の範囲を、実質的に縮小することで大筋合意した。7月5日にも、共同発表する。NHKニュースなどが報じた。
■日米地位協定、「軍属」の問題とは?
日米地位協定によると、軍属とは、米軍基地で事務員や技師などとして働き、軍務を支える民間のアメリカ人のこと。米軍人や軍属が公務中に事件や事故を起こしたり、容疑者が基地に駆け込んで米軍が身柄を拘束したりした場合は、アメリカの法律が適用され、日本の警察は逮捕することができない。
このため、日本国内での犯罪は日本の法律で裁くべきだという意見や、軍属の対象があいまいだとの批判があった。今回の沖縄の事件の容疑者は米軍と直接雇用関係がなく、安倍晋三首相は「(暴行殺人事件で)逮捕された容疑者のような人物が軍属という形で地位協定によって守られているのはおかしい」と発言。米側からも「協定上の地位を与えられるべきでなかった」と、指摘されていた。
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■見直しで、何が変わる?
これまでの協議で、日本政府は軍属の適用範囲を限定するよう要求。軍属から外れる職員は、公務中の犯罪であっても日本側が裁判権を持つことになる。日本の在留資格を持つ者は軍属から除外することや、米軍による軍属への教育をより徹底させることも、再発防止策に盛り込まれる。
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