「正直、友達と政治の話は...」 初めて投票した大学生が、参院選で感じたこと #YoungVoice

初めて「投票用紙」を手にした感想は…。
KeiYoshikawa

今回の参院選は、選挙権が18歳に引き下げられてから初の国政選挙となる。若者たちは「初めての1票」をどんな思いで投じるのだろうか。ハフポスト日本版は7月9日、期日前投票の最終日に「初めての1票」を投じた、都内の大学に通う武田悠介(20)さんに話を聞いた。

■「期日前投票所には、若い人も多かった」

――初めて投票した感想は?

「選挙権を持って、いざ1票を入れる!」というような、そこまで仰々しい実感はありませんでした(笑)。とくに緊張もせず、「自分が入れたいな」と思ったところに淡々と入れました。

――投票所で、何か気になったことや困ったことはありましたか?

期日前投票所には若い人も多かったです。並ばず、スムーズに投票できました。投票用紙に初めて触りましたが、ツルツルでびっくりしました。鉛筆での書き心地がとても良かったです。


――投票箱に用紙を入れる瞬間は、どんな思いでしたか?

そこはさすがに「入れたら、もう戻せないなあ」と、少し緊張しました。例えるなら、期末試験の終了後に解答用紙を提出する時と似たような緊張感…でしょうか。

■「世の中のことに関心を持っていなかったけど…」

――初めての選挙、投票先を選ぶ上でどうやって情報を集めました?

僕は大学に入ってから、そこまで世の中のことに関心を持っていなくて。これまで政治や国際関係とか、特に情報を仕入れていませんでした。恥ずかしながら、読書もしない性格なんで…。3ヶ月ぐらい前に「将来の就活もあるし、そろそろやばいな」って思うようになって、新聞を読むようになりました。時を同じくして参院選の話題も出てくるようになったので、今日までずっと新聞で情報を集めていました。まず1面を読んだ後に、見出しで気になった記事を読みました。

そうやって新聞を読むうちに、なんとなくですが、候補者や政党がどんなことを考えているのかを知るようになりました。テレビは、学校に行く前に朝の報道番組を見るぐらい。どうしても家にいる時間が少ないので、テレビはあまり見なかったです。このほかにも、時間がある時にはネットのニュース記事を読んで情報を集めました。「2ちゃんねる」のまとめサイトなども見ましたが、「こういう意見もあるんだな」という参考程度にした感じです。

――どんなことを重視して投票先を選びましたか?

一番は、憲法についてどう考えているかという点ですね。国のかたちを定義するものだから。それ以外に考えたのは、政党のパワーバランス。1つの政党だけが大きくなることは良くないと思います。その一方で、「どの党も、同じようなこと言っているなぁ」という感じもあり…。自分自身にとって特別に目立つ政策も見つけられませんでした。正直言って、積極的に「支持したい」と思える投票先がなかったです。

――選挙権は18歳に引き下げられましたが、被選挙権は衆議院議員25歳、参議院議員は30歳のままです。引き下げたほうがいいと思いますか?

そうですね、選挙権が20歳から18歳に引き下げられたので、被選挙権も2歳ずつ引き下げれば良いと思いました。ただそうすると、衆議院には23歳で立候補できますよね…。今の自分と3歳しか違わない人が国会議員に立候補するというのも、なんとも複雑な心境ですね。人生経験的にどうなのかなぁとか思ったり。

■「足を止めて街頭演説を聞くのは、ちょっと恥ずかしい」


――今回の参院選で、街頭演説を目にしたり聞いたりしましたか?

移動中などに目にする機会はありました。でも、立ち止まって聞くことはありませんでした。目的をもって移動している最中に足を止めて演説を聞く時間は、あまり無いかなあと思います。足を止めて街頭演説を聞くのは「ちょっと恥ずかしいな」という思いも少しありました。

――選挙広報(候補者や政党の政策・信条などが掲載されたもの)は読みましたか?新聞の折り込みに入っていたり、役所など公共施設に置いてあるのですが。

存在は知っていますが、読む機会はなかったです。新聞の折り込みに入れてあっても、若い人は読まないですよ。周りの友達には一人暮らしが多いですが、そもそも新聞を取っていない。選挙公報に目を通す機会は少ないと思います。政見放送も見る機会が少ないですよ。時間的にも、早朝や昼間出かけている時間に放送していたりするので。

■「正直なところ、友達と政治的な話は...」

――友達と選挙について、話をしたりしましたか?

僕の周りでは一切話題にならなかったですね。「今回、初選挙だねー」ぐらいの話はしましたが、「どこに投票する?」とか具体的な話はなかったです。「18歳選挙権がはじまった!」「若者も政治に参加を!」という世の中の声はありますが、正直なところ友達と政治的な話をするのはちょっと…。タブーとまで言いませんが、「話しにくいな」と思うのが正直な感想です。

――若者の立場から見て、どうやったら投票率が上がると思いますか?

やはりネット投票ですね。オンラインで投票できるようにしてほしいです。特に今日は強い雨で、投票所まで出かけるのは「めんどくさいな」と思う人もいると思います。選挙当日の投票所は自宅に近いところが多いと思いますが、期日前投票の場所って決められているじゃないですか。わざわざ空いている日に行くのも、やはり足が重くなりますよ。

――ひと足先に投票した武田さんから、明日の投票日に初めての1票を投じる同世代の人に向けて伝えたいことはありますか?

ある程度でいいので、ネットなり新聞なりで情報を仕入れてから行ったほうが良いと思います。自分と関わりのありそうな政策を訴えている候補者や政党を探すとか。たとえ誰に投票にするとしても、「若者もちゃんと選挙に行くんだ。無視できないな」と、投票率でアピールできる良い機会だと思います。投票に行かないと、自分達の世代が損をすると思うので。

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