メイ内相、イギリス首相に就任へ ライバルが突然党首選から撤退した理由は?

新たな保守党党首となるメイ氏は、「EU離脱の国民投票で分断されたこの国と党をまとめたいと語った。

イギリス与党保守党は7月11日、テリーザ・メイ内相を新党首に選出すると発表した。党首選を争っていたエネルギー担当閣外相のアンドレア・レッドサム氏が撤退を表明した。デビッド・キャメロン首相は13日夜に辞任する。

テリーザ・メイ内相

メイ内相は、キャメロン首相が13日夜にウェストミンスターのダウニング街10番地(首相公邸)を引き継ぐことを明らかにしたことを受け、イギリスの新首相になることについて「大変光栄です」と語った。

新たな保守党党首となるメイ氏は、「EU離脱の国民投票で分断されたこの国と党をまとめたいと語った。

メイ氏は「これからの大変な時期や経済的・政治的に不透明な時代に、実績のある強いリーダーシップで国民を導いていきます」と述べた。また、国民投票では残留派に属していたが、「離脱は離脱です。私たちは離脱を成功させます」とも述べた。

「国をまとめるつもりです。この国の将来のために強く、ポジティブな新しいビジョンが必要です。それは少数の特権階級の人たちではなく、私たちみんなのための国としてのビジョンです」

この日、ウェストミンスターは予想外の展開が目まぐるしく繰り広げられた。キャメロン首相は公言した9月ではなく、48時間以内に辞任すると発表した。

13日夜の退任を発表するキャメロン首相

一方、野党労働党ではジェレミー・コービン党首の対抗馬としてアンジェラ・イーグル議員とオーウェン・スミス議員が党首選を争っている。労働党はメイが議会を解散した場合に備えて「全体的な選挙の足場固め」をしていると述べた。

キャメロン首相はメイ内相が後任となり「うれしい」と述べた。

「彼女は強く有能で、この先、この国が必要になる指導力を十分に持っています。また、私も全面的に彼女を支持します」と、キャメロン首相は語った。

「当然、メイ内相が党首に決まったことで、長い移行期間は不要になりました。ですから、私が内閣の議長を務めるのは明日の閣議が最後になります」

「13日、首相質問のために庶民院(下院)に出席します。そして、その後バッキンガム宮殿に向かい、辞任を申し出ることになります。ですから、13日夜までに、私の後ろにある、首相官邸の建物に新しい首相が入ることになります」

イギリス首相は、女王に直接会って正式に辞任を願い出なければならない。11日、エリザベス女王はノーフォークにいるが、13日午前中にはケンブリッジで会合が予定されている。そのため、早ければ13日夜にはメイ内相が次期首相に就任する。

11日、メイ内相はバーミンガムで演説した。その中でメイ氏は、不平等格差の縮小と過密化するロンドンの人口対策といった政策を並べた。しかし、6月の国民投票でイギリスのEU離脱が決まったことを強く意識し、メイ氏は「離脱は離脱、残留へ向けての試みはありません」と強調した。

保守党党首争いのライバル、レッドサム氏が突然撤退したこと受け、11日朝の時点でメイ氏のNo.10(ダウニング街10番地)入りは確実となった。

労働党、自由民主党ともに、メイ氏は解散総選挙をすべきだと主張している。

党首選を争ったマイケル・ゴーヴ司法相はメイ内相の首相就任を支持してきた。「早急に事を進め、テリーザ・メイ氏の首相後継を確実にするべきです。我々の次期首相として私はメイ氏を全面的に支持します」と、ゴーヴ氏は述べた。

ゴーブ氏とともにEU離脱を主導し、次期首相候補の最有力とみられていたボリス・ジョンソン前ロンドン市長は「テリーザ・メイ氏が優れた党首かつ首相になることは間違いない」と述べ、「直ちに」首相交代を実現するよう求めた。

アメリカ訪問中のジョージ・オズボーン財務相はメイ氏について「首相の任務にふさわしい、強力で信念を持った人物」だと語った。

党首選からの撤退を発表したレッドサム氏は「国益のため、すぐにでも強力で信頼のある首相が必要だ」と述べた。

「我が国にとって 非常に重要な局面を迎えている時期に、9週間の選挙活動が行われるのは非常に好ましくない。強力で統一のとれた政府は、自立したイギリスの経済的な枠組みがどのようになるか、より迅速に立案しなければならない」

アンドレア・レッドサム氏

「保守党は2015年に、強力なマニフェストを掲げて信任を得たばかりだ。しかし今は、早急に新首相を就任させ、徹底してマニフェストを遂行するのと同様に、EU離脱に向けて明確な方向性をもたせられる人物が必要だ」

レッドサム氏はEU離脱派としてキャンペーン活動を行ったが、残留派のメイ氏について、イギリスのEU離脱を取り仕切るのに「望ましい就任だ」と述べた。

レッドサム氏を支持していたオーウェン・パターソン元エネルギー担当相は、彼女が「容赦ない攻撃」を受けていたと語った。レッドサム氏は、「子供のいる自分の方が首相にふさわしい」と、メイ内相に子供がいないことを言及し、批判を受けていた。レッドサム氏は、メイ内相に与えた「いかなる苦痛」に対しても「非常に申し訳ない」気持ちである、と述べた。

レッドサム氏の選挙担当を務めたティム・ロートン氏は、レッドサム氏が「尊敬の念よりも中傷を優先させた」試みに反対し、彼女を非難した。一方でロートン氏は、メディアがレッドサム氏への攻撃を激化させ、「卑怯な策略」を仕掛けたことを批判した。

労働党のジョン・トリケット氏は、労働党を総選挙モードに移行させると述べる一方、「EU離脱の国民投票が引き起こした不安定な国政を考慮すれば、イギリスが民主的に選ばれた首相を迎えるのは極めて重要だ」と述べた。

自由民主党の党首、ティム・ファロン氏は解散総選挙をせずに、メイ氏が首相になることは「信じられない」と述べた。「総選挙をする必要がある。保守党は有権者を無視していいわけがないし、彼らの権限は損ねられ、破綻している」と語った。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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