「指しゃぶりの癖がある子供はアレルギー発症確率が低くなる可能性がある」(研究結果)

ニュージーランドで1972〜3年に生まれた子ども1037人を対象に、5歳前後から32歳までの追跡調査を行った。
A 7 months baby sucking his thumb
A 7 months baby sucking his thumb
Catherine Delahaye via Getty Images

指しゃぶりをしたり爪を噛む癖がある子供は、大人になってアレルギーを発症する確率が低いという研究結果を、ニュージーランドの研究者グループが追跡調査を元に発表した。ニュージーランドヘラルドなどが報じている。

この調査は、ニュージーランド・オタゴ大学のボブ・ハンコックス准教授らが7月11日に小児科の専門誌「ピディアトリクス」で報告した。

研究グループは、ニュージーランドで1972〜3年に生まれた子ども1037人を対象に、5歳前後から32歳までの追跡調査を行った。

両親によると、対象者の中で、指をしゃぶったり爪を噛んだりする癖のある子どもは全体の約31%だった。その後、13歳、32歳でアレルギーの有無を調べる追跡調査を行った。

追跡調査の結果、13歳の時点でアレルギー反応があった子どもは、全体で45%だった。

子どもの頃に指しゃぶりもしくは爪噛みのどちらかの癖があった子供では、アレルギー反応が40%に減り、両方の癖がある子供は31%に減った。逆に、いずれの癖もなかった子どもの反応は49%と高かった。

同じように32歳時点での調査でも癖のあった子どもは低いアレルギー発症率を維持していた。。ただし、ぜんそくと花粉症については相関関係がみられなかったという。

世界的にアレルギー患者が増加している原因として最も引き合いに出されるのが「衛生仮説」という考え方だ。これは、衛生環境が改善した近年では、人体に必要な細菌まで取り除かれ、免疫システムの能力が損なわれて正常に反応しなくなり、アレルギー発症の危険が高まる可能性があるというものだ。

ニュージーランドヘラルドによると、ハンコックス准教授は、「この結果は、衛生仮説を裏付けるものだ」と話しているという。一方で、「本当に指しゃぶりの癖などが健康に寄与するかはまだ未解明で、指しゃぶりなどを奨励するものではない」と注意を促している。

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