「お前を殺してやる」 フィリピンのドゥテルテ大統領が恫喝した相手とは...

ドゥテルテ大統領は「フィリピンのドナルド・トランプ」とも呼ばれる。

フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が7月15日、南部ダバオの麻薬取締局で同国の麻薬王の一人と疑われる実業家のピーター・リム氏と会談した。ドゥテルテ大統領はリム氏に向かって「お前を処刑する。お前を殺してやる」と恫喝した。現地紙マニラ・ブルトゥンなどが報じた。



■麻薬撲滅に注力するドゥテルテ大統領

AFP通信などによると、ドゥテルテ大統領は7日に国営テレビでの演説で「麻薬密売人のピーター・リム。彼が飛行機から出てきたら、その瞬間に命を落とす」と非難していた。

15日の面談では、ドゥテルテ大統領はリム氏に「お前を処刑する。お前を殺してやる」と、面と向かって恫喝した

これに対しリム氏は、同名の別人だと主張。「セブにいる私の家族はいま深刻な問題を抱えています。あらゆる脅迫を受けています」と述べ、大統領の演説以来、身の危険を感じていると不安を吐露した。リム氏はフィリピン中部のセブ市で複数の事業を営んでいるという

リム氏の反論に対し、ドゥテルテ大統領は「謝るつもりはない。お前は麻薬王だと疑われているからここにいる」と切り返した

リム氏は会談の中で、違法薬物への関与を強く否定した。その一方で、1997年に麻薬関連の容疑で当局の捜査を受けたことは認めた。加えて、「わが国にあなたがいてとても幸運です。わが国を救うことのできる大統領はあなただけです。あなたは本気だ」と、ドゥテルテ大統領に犯罪撲滅運動への協力を誓った

■過激な発言で知られるドゥテルテ大統領とは?

ドゥテルテ大統領は検事出身。1980年代から断続的に20年以上にわたりダバオ市長をつとめた。治安対策で実績があり、自ら短銃を持ち薬物を取り締まる強硬な姿勢から、米刑事映画の主人公「ダーティハリー」にも例えられる。6月の大統領選では、強い指導者像をアピールして当選した。

現地紙マニラ・タイムズによると、フィリピンの民間調査機関ソーシャル・ウェザー・ステーションが6月30日の就任直前の24~27日に実施した世論調査でドゥテルテ氏を支持すると答えた人は84%にも上る。

ドゥテルテ大統領は「犯罪者は射殺する」「就任したら腐敗した官僚や警察は皆殺しにする」「水上バイクで中国の人工島に行って旗を立てる」といった過激な発言でも知られ、アメリカ大統領選の共和党候補指名獲得を確実にしたドナルド・トランプ氏に重ねて「フィリピンのドナルド・トランプ」とも呼ばれる

ドゥテルテ大統領は犯罪者に容赦しない姿勢を示している。就任直後には、警察官が麻薬密売人を見つけた場合「殺害すれば報奨金を支払う」と表明。恐れた人々が警察署などに殺到した

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