一日の終わりにビールを飲み干しながら「ビールを仕事にできたら幸せだ」と思っている方に朗報がある。
ワシントンD.C.にある、スミソニアン協会の国立アメリカ歴史博物館が「ビールの歴史研究家」を募集している。選ばれた人は「アメリカにおけるビール醸造の歴史」という新たな試みの研究に携わることになる。
ビール醸造者を求める、1900年の広告。 (COURTESY OF THE NATIONAL MUSEUM OF AMERICAN HISTORY)
ビール好きの興味をそそる仕事だ。しかし、博物館のキュレーター、ポーラ・ジョンソン氏は「ビールを飲むより、研究に費やす時間の方が圧倒的に多いことを忘れないで欲しい」と言う。
「ビールを試飲することもあります。ビールを飲まずに、醸造の歴史を知るのは難しいですから。しかし、募集しているのは、ビールテイスティングをする人ではなく、ビジネス、醸造、食べ物、文化についての知識を持つ、経験ある歴史家です」と、ジョンソン氏はハフポストUS版のメール取材に答えた。
どうやら、ビールに対する熱い思いだけでは、不十分のようだ。実際の求人には、応募資格について次のように書かれている。
学術調査、歴史に関係する口頭インタビュー、および専門家と一般両方に向けての論文を執筆した経験がある人を求めます。また、物質文化と記録資料についての知識が必要です。学芸員と共に資料を集め、幅広いプログラムや、デジタルを含むアプリケーション、コンテンツを開発します。ビジネス、醸造、食品、文化、その他近隣領域における専門分野の上級学位を持っていて、出張が可能で、個人でもチームでも働くことができる人。締切を守り、同僚及び一般の人と上手くコミュニケーションをはかれる人を求めます。
……そう簡単には、ビール歴史研究家にはなれないようだ。しかし、合格したら、実際にどんな仕事をするのだろう?ジョンソン氏は次のように答えた。
「プログラムの計画を立て、リサーチを実施し、デジタル・紙媒体の両方に多数の執筆をしてもらいます。人前で話したり、資料や書類を集める仕事もあります。また、一般向けのプログラムを作るために、博物館のスタッフと協力して働いてもらいます。その他、博物館に関する仕事がたくさんあります」
1905年頃に作られた、ビール用のトレイ。ビール組合は、働いてる人たちの結束のもとに作られた。このトレイには、ビールを運ぶドライバーと醸造者が共に働く様子が描かれている。ドイツ語で書かれているのは「自由」「平等」「仲間」という文字。(COURTESY OF THE NATIONAL MUSEUM OF AMERICAN HISTORY
)
ビール歴史研究家の契約は3年で、アメリカ全土のビール会社を巡り、話を聞いたり資料を集めたりすることになる。
この仕事は、アメリカ醸造組合による助成金で設けられたが、それが研究に影響することはないとジョンソン氏は述べている。
「博物館が、全ての研究内容やリサーチ、プログラムを管理します。スミソニアン協会は、個人、企業、団体、全ての資金提供者にこの姿勢を貫いています」
ビール歴史研究家に選ばれたあかつきには、年間6万4000ドル(約670万円)の給与が支給される。それに何より、人に自慢したくなるようなかっこいい肩書きを手にできるのが嬉しい。
ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。
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