小池百合子氏、小泉氏譲りの「ケンカ選挙」で圧勝 当選後はいばらの道か【都知事選】

東京都議会を「改革の敵」として演出する「ケンカ選挙」で浮動票をつかみ、増田寛也氏、鳥越俊太郎氏を振り切って当選を確実にした。

17年ぶりの保守分裂となった東京都知事選は、都政の透明化を訴えた小池百合子・前衆院議員(64)が勝利を確実にした

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小池氏は、東京都議会を「改革の敵」として批判する「ケンカ選挙」で無党派層を射止め、自民党都連や公明党が支援した元総務相の増田寛也氏(64)、野党4党(民進・共産・生活・社民)が擁立したジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)を振り切った。

「議会も都民の方々に選ばれた方々。これから都民のためになる政策の実現のために連携を取らせていただきたい」

小池氏は7月31日午後8時すぎ、東京・池袋の選挙事務所で万歳三唱。記者会見で、選挙中に都議会との対決姿勢を強調した点を問われ、こう答えた。

選挙中は「東京大改革」と銘打って「都政の透明化」や「五輪関連予算・運営の適正化」などの行財政改革を打ち出した。緑をシンボルカラーとし「緑のものを一点身に着けて」参加するよう呼びかけ、会場を緑色に染めるパフォーマンスも見せた。

時事ドットコムの出口調査によると、小池氏は「支持政党なし」の無党派層の50%を獲得し、増田氏(23%)、鳥越氏(19%)を引き離した。

都議会を抵抗勢力に見立てて対決姿勢を演出する戦略は、小泉純一郎・元首相の手法に重なるものがある。

小池氏は、「郵政解散」となった2005年総選挙で、郵政民営化に反対する候補者への「刺客」として、兵庫県から東京に選挙区を鞍替えした。2007年の第1次安倍政権で防衛相に就任すると、守屋武昌・防衛事務次官を更迭する人事案を作成。内閣を巻き込んだ権力闘争に発展し、在任わずか55日で退任した

自民党東京都連は、石原伸晃会長や内田茂幹事長らの連名で文書を出し、小池氏を支援した場合は親族も含めて「除名等の処分の対象」と締め付けを図った。都連所属の国会議員で応援についたのは、若狭勝・衆院議員だけだった。

こうした締め付けを逆手に取り、政党の組織的な支援がないことを積極的にアピール。「もう崖から飛び降りている」「私も火あぶりになるかもしれないが、その覚悟でいきたい」と背水の陣を訴え、有権者の共感を誘った。

内田氏に対しても、都政を牛耳る「都議会のドン」と批判を強めた。内田氏に自殺に追いやられたとする元都議の妻が応援演説に立ったほか、内田氏の地元の千代田区では「ボスみたいな人が決めるのではなく、自由闊達な都政にする」と演説した

7月7日の記者会見で「都議会の冒頭解散」を公約に掲げた小池氏

ただ、都議会(定数127)で表だって小池氏を支援したのは、少数会派の「かがやけ Tokyo」(3人)のみ。過半数を握る自民(56人)、公明(23人)の大半は、増田氏を支援した。石原伸晃・自民都連会長は7月26日「今日をもって小池氏は自民党の人間ではない」と批判朝日新聞デジタルによれば、匿名の政府高官は選挙戦終盤の7月29日、小池氏について「反党的な行為だから当然除名だ」と語るなど、自民党は小池氏への対決姿勢を強めている。

公約の一つに掲げた「都議会の冒頭解散」には、都議会が小池氏への不信任案を可決することが前提となる。都議会が解散しなくても、2017年夏には任期満了を迎えるが、しばらく新知事にとって、議会運営はいばらの道となりそうだ。

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