次の休暇で泊まるホテルの部屋の写真を1枚撮るだけで、性奴隷を助けられるかもしれない。
性行為目的の人身売買は世界中で最も急増している犯罪だ。UNICEFによると、世界で120万人以上の子供たちが毎年人身売買の被害者になっている。年齢は、12〜14歳がほとんどだ。
性的人身売買の被害者は、何の変哲もない家や、人里離れた密室だけで被害に遭っているのではない。人身売買の業者は被害者を取引する場所として、ホテルを選ぶこともある。なぜなら、部屋代を現金で払い、見つからないように一晩ごとに居場所を変えられるからだ。
アメリカの人身取引センターと、人身売買問題に取り組むNGO「ポラリス」によると、2007年から2015年にかけ、ホテルやモーテルで行われた人身売買は1434件にのぼるという。
新しく開発されたアプリ「トラフィックカム」は、休暇を楽しむ人々にホテルルームを撮影してアップロードするよう求めている。目標は、ホテルルームの写真データベースを作り上げ、人身売買業者がオンラインに投稿する写真と照合させることだ。
多くの場合、人身売買業者は広告目的でホテルの部屋にいる被害者の写真をネット上にアップロードする。しかし、捜査当局が撮影場所を特定できる可能性は低いという。トラフィックカムは、その現状を変えたいと願っている。
「トラフィックカム」によると、捜査当局あてに旅行者から送られた写真のデータベースで、カーペットの模様、家具、部屋の備品、そして窓からの景色などを、写真が撮られた可能性のあるホテルのリストから特定する。アプリの試験初期段階では、ホテルの特定率は85%にのぼった。
アプリはクラウドでデータを収集し、人身売買業者が所有したり、シェアしていた写真と比定する
2015年にかけ、性的人身売買の問題に取り組むNGO「エクスチェンジ・イニシアチブ」とセントルイスのワシントン大学研究グループがデータベースを共有し、すでにアメリカ国内のすべての主要大都市圏にある14万5000軒以上のホテルか、150万枚の写真を集めている。
エクスチェンジ・イニシアチブのモリー・ハケット代表によると、アプリの開発に取り組むようになったのは、ある事件がきっかけだったという。
エクスチェンジ・イニシアチブは捜査当局と共同で人身売買が行われたホテルの部屋の特定に取り組んでいた。
「あるモーテルの部屋を特定できなかったことが、アプリ開発のきっかけとなりました。その地域の警察の風俗犯罪取締班と我々のメンバーが連携しても、被害にあった少女を探し出すのに3日もかかったのです」と、ハケット代表は述べた。「現代のテクノロジーを考えても、3日は長すぎます」
トラフィックカムは、データベースの拡大に引き続き取り組んでおり、そのための寄付も募っている。アプリの情報はこちらを参照。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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