PRESENTED BY IIBC

「現代のビジネスシーンに活きる英語を」より実践的になったTOEIC。知っておきたい5つのこと

「TOEICテスト」は、「TOEIC Listening & Reading Test」に名称が変わった

TOEIC(トーイック)テストは、英語によるコミュニケーション能力を測る世界共通のテストであり、日本でも2015年度には約255.6万人が受験している。企業や官公庁、学校などさまざまな団体で英語能力を測定するテストとして採用されており、一部の企業では採用や昇進・昇格の条件としても活用されている。

テストの結果は合否ではなく、10点から990点までのスコアで評価され、その基準は一定に保たれているので、スコアで英語能力のレベルを知ることができる。一般企業が期待するTOEICスコアの目安は、新入社員が450〜650点、海外赴任は555〜765点とされている。就職活動対策として、よりよいスコアを目指して日々勉強している人もいれば、企業から課された目標スコアを取るために忙しい合間をぬって英会話スクールに通っている人もいるかもしれない。

そんなTOEICテストが最近変わったという。一体今までと何がどう変わったのだろうか。

1. 「TOEICテスト」は、「TOEIC Listening & Reading Test」に名称が変わった

TOEICと聞くと、リスニングとリーディングのテスト、いわゆる「TOEICテスト」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。その名称が、2016年8月5日から、「TOEIC Listening & Reading Test」(以下、TOEIC L&R)に変更になった。

その一方で、「TOEIC Program」には、英語で話す・書く力を測る「TOEIC Speaking & Writing Tests」(以下、TOEIC S&W)もあり、2007年から実施されている。「TOEIC L&R」と「TOEIC S&W」この2つのテストによって、聞く力と読む力という受動的なスキルに加えて、話す力と書く力という能動的なスキルも併せて、コミュニケーションに必要な4つの技能を測ることができる。

2. 「TOEIC L&R」の出題形式が変わった

「TOEIC L&R」(変更当時:TOEICテスト)は、2016年5月の公開テストから出題形式の一部が変更されている。各パートの設問数は下記のように変わっている。

リスニングセクションが100問、リーディングセクションも100問、合計200問のマークシート方式なのは以前と変わらない。それを2時間で解くためにはスピードが問われるのも変更前と同様だ。リスニングでは会話問題が、リーディングでは長文穴埋め問題や複数文書の読解の問題数が増えて、多少難しくなったように感じる人もいるかもしれない。

3. 「TOEIC L&R」の問題内容も変わった

もちろん変わったのは問題形式だけではない。問題の内容も、より実践的で、日常生活や実際のビジネスシーンに即した内容に変わった。

① リスニングの会話が2人から3人以上に増えた

友人と会話をするにも、仕事で会議をするにも、3人以上で話をする機会も多いのではないだろうか。そのような実践的なシーンを想定して、話し手が3人以上いる問題も出題されるようになった。

② リスニングに図表などのビジュアル素材が用いられている

海外出張や会議などにおいては、文章だけでなく地図やグラフなどを読み解かなければいけない場面もきっとあるだろう。ソーシャルを含むメディアでも、日々さまざまな画像やイラストが拡散され、最近ではインフォグラフィックなどもよく目にするようになった。日常的に使う英語力として、ビジュアル素材を見ながら話を理解するスキルも問われている。

③ リーディングでは、テキストメッセージやチャット形式の文章が出てくる

ショートメールやLINEのようなコミュニケーションアプリは、今もっとも日常的に使うツールのひとつと言えるだろう。ニュース記事やビジネス文書とは異なる、ネットならではの形式や表現を知っておくことも、コミュニケーションを円滑にするためにはとても重要なスキルであるとして、新たに取り入れられている。

4. スコアの持つ意味は同じ。変更前のスコアとそのまま比較することができる

ここまで変更点を説明してきたが、問題が難しくなったように感じる人も多いかもしれない。そして、問題が難しくなれば、当然スコアにも影響し、「以前に受けた時のスコアが使えなくなってしまうのでは……」と不安を覚える人もいるだろう。今回の形式変更では、問題の難易度およびスコアの基準は変わらないように整合性が保たれているので、あくまでもスコアが表す英語能力は変わらないようになっている。新形式の問題を作成したETS(Educational Testing Service)では、変更するにあたって約3年の歳月を費やし、パイロットテストを複数回行ったという。

5. なぜTOEICテストは変わったのか!?その対策も含めて主催者に聞いてみた

なぜ「TOEICテスト」の名称や内容を変える必要があったのだろうか。日本で「TOEIC Program」を実施・運営する一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)常務理事の山下雄士氏に話を伺った。

−—なぜ、名称を「TOEIC Listening & Reading Test」に変えられたのですか?

TOEICテストは1979年に始まり、今では世界で年間約700万人の方に受けていただけるまでに成長しました。しかし、多くの方が「TOEICテスト=リスニングとリーディングのテスト」と認識されており、2007年から実施している「TOEIC S&W」をご存知ない方も少なくありません。グローバル化が進んだ現代では、英語を聞く力や読む力だけでなく、話す力や書く力といった発信力もとても重要になってきます。そこで、リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングというコミュニケーションに必要な4技能を測れることをわかりやすく示すために、従来の「TOEICテスト」を「TOEIC Listening & Reading Test」という名称に変えました。「TOEIC L&R」と「TOEIC S&W」の2つを合わせて4つの技能を測るテストとして、改めて皆様に知っていただきたいと考えました。

——2016年5月の公開テストから問題形式を変更された理由・背景は?

今、世の中は、すごいスピードで変化しています。TOEICテストができた当時は、インターネットはもちろん、パソコンですら一部の企業でしか使われていませんでした。しかし、1990年代後半から2000年代に入るとパソコンを使ったメールのやりとりが当たり前になり、今ではテキストメッセージやチャットもビジネスツールのひとつになってきています。そうなると当然、ビジネスシーンでの英語の使われ方も変わってきます。

TOEICテストの開発を行うコンセプトに「オーセンティック(実際的)」という言葉があります。TOEICテストは現代社会における英語のコミュニケーション能力を測るテストです。つまり、テスト問題も、現代の社会環境や実際に使われているコミュニケーションに即したものでなければいけません。そのために、常に時代に合ったテスト問題の研究・開発を進めています。

——問題形式が変わったことで、勉強法を変える必要はありますか?

問題形式の変更のために勉強法を変える必要はありません。そもそも日本人にとって、英語は数ある外国語の中でも一番難しい言語だといえます。一般的には、目に見えて英語力が向上するには1000時間の学習が必要だと言われています。1日30分でも1時間でも構いませんが、その時間は集中して勉強に取り組み、それを毎日継続することが、結局は一番の勉強法なのでしょう。

以前、アンケートを実施したことがあるのですが、みなさん色々な方法で学習されています。大切なのは、普段から英語に慣れておくことです。たとえば、何か欲しいものがあって、インターネットで調べることがありますよね?そのとき、日本語のサイトで調べるのではなく、あえて英語のサイトで調べてみると、その商品についての紹介文やユーザーからのコメント欄には、生きた英語が載っています。それを読んでみるだけでも自然と英語力が身につき、何より自分が興味のあることなので、楽しく学習することができるでしょう。リスニングに関しても、ネットを活用すれば、英語のニュースをライブで聞くこともできますし、動画であれば字幕や映像というヒントを活用しながら観ることもできます。そうやって生の英語に触れる機会を増やすことが、リスニング能力を向上させるのに効果的な勉強方法だと思います。

——最後に、グローバルな人材がますます必要とされていく現代で、IIBCとして今後目指していることや展望などはありますか?

IIBCは、さらなる英語のコミュニケーション能力向上のために、実際に英語を話せる「場所」や「機会」も提供していきたいと考えています。いくら英語を勉強しても、それを実践する機会がなければ、時間の経過とともに衰えてしまいますよね。ですから、IIBCでは、「英語を話したい」「英会話のスキルを磨きたい」という人たちを応援するべく、英語を話す場作りやイベントの実施にも取り組んでいます。「TOEIC Program」の推進だけでなく、英語を話す場所、実践的にコミュニケーションスキルを磨く機会を提供することで、将来活躍するグローバル人材を1人でも多く増やすことにつながればと願っております。

TOEIC ENGLISH CAFE SPEAK UP WEEK(共催:J-WAVE)

今回の変更によって、「TOEIC Program」はより実践的でビジネスの現場に活きるコミュニケーション能力を測るテストに生まれ変わった。今後ますますグローバルに活躍する人材が求められる中で、英語で聞く・読む・話す・書く、という4つのスキルを操り、自ら発信していくコミュニケーション能力を身につけることは、世界の人と一緒に、世界を舞台に活躍することへの第一歩になる。

*「TOEIC Program」および「TOEIC L&R」、「TOEIC S&W」はETSの商標です

関連記事

TOEIC L&R 新形式 サンプル問題

注目記事