花嫁は、父の心臓を移植した男性とバージンロードを歩く

「お父さんの心臓の音、聞こえる?」

ジェニ・ステピエンさんは8月5日、アメリカ・ペンシルバニア州で結婚式を挙げることになったが、一緒にバージンロードを歩いてくれる父親がいなかった。実は、彼女の父マイケル・ステピエンさんは、2006年に強盗に襲われ亡くなっていたからだ。

しかしこの日、父親役を務めるため特別ゲストが登場した。亡くなったマイケルさんの心臓を移植してもらった、アーサー・トーマスさんだ。

2人は結婚式で初めて会った。トーマスさんは「お父さんの心臓を感じるかい?」と尋ね、ジェニさんはトーマスさんの胸に手を当てて涙を流しながら黙って頷いた。

感動的なやり取りは、地元テレビ局KDKAのニュースで放送された。

<結婚式を伝えるKDKAのニュース番組(英語)>

マイケルさんが亡くなった時、ジェニさんは23歳だった。

一方、トーマスさんはニュージャージー州の自宅で、10年近く心臓移植の機会を待っていた。数日中に移植できなければ命が危ない状態だった。

「私たちが臓器提供を決断してから48時間以内に、彼は父の心臓を受け取りました」とジェニさんはハフポストUS版に説明した。

移植が成功した後、トーマスさんはステピエンさん家族に感謝の気持ちを伝える手紙を書いた。その後、手紙と電話のやり取りは続いたが、ジェニさんの結婚が決まるまで、ステピエン家とトーマスさんが直接会うことはなかった。

しかし、結婚が決まった時、ジェニさんの頭に浮かんだのが、今では親しみを込めて「トム」と呼ぶトーマスさんだったと、ジェニさんは話した。

「プロポーズされた時、まず最初に頭に浮かんだことの一つが『誰がバージンロードを一緒に歩いてくれるんだろう?』でした。トムほどふさわしい人は思いつきませんでした」

婚約者の勧めもあり、ジェニさんはトーマスさんに手紙を出した。その数日後に、結婚式に出席するという電話がトーマスさんからかかってきた。

トーマスさんの出席を、ジェニさんだけでなく家族も喜んだという。

「トムに一緒にバージンロードを歩いてもらうという案に、母は感動していました。父に感謝を表すためのいい方法だと思ったようです。結婚式は、私だけじゃなく全員にとって特別な日にしたかったんです」

また、「臓器移植は大切だ」というメッセージも伝えたかった、とジェニさんは話した。

「臓器提供は、2度目の生きるチャンスをくれます。何にも代え難い特別な贈り物、無私で惜しみない贈り物です。受け取った人に必ず感謝してもらえます。私たちは、トムが素晴らしい回復を遂げるのを目にすることができました。そしてトムは、私たちが悲しみから立ち直るのを助けてくれました」

ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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