銀座線で盲導犬連れた男性がホームから転落死 相次ぐ事故に対策は

視覚障害者のホーム上の事故は相次いでいる。

東京メトロの青山一丁目駅。転落地点の先には、点字ブロックを一部つぶす形で柱が並んでいる

東京の地下鉄ホームで8月15日の夕方、盲導犬を連れた男性が線路に転落して死亡した。

朝日新聞デジタルによると、亡くなったのは東京都世田谷区在住の会社員、品田直人さん(55)。東京メトロ銀座線の青山一丁目駅で、駅員がホーム端を歩く品田さんに気付いてアナウンスした直後に事故が起きた。

赤坂署や東京メトロによると、品田さんは15日午後5時45分ごろ、ホームドアがない同駅(注:青山一丁目駅)のホームで、右側に盲導犬を連れて線路側を歩いていて、足を踏み外して転落した。ホームの端から1メートルには点字ブロックがあったが、端から66センチにひかれた白い点線付近を歩いていた。駅員が線路側を歩く品田さんに気づき、「白線の内側にさがって下さい」とアナウンスしたが間に合わなかったという。

視覚障害の男性、白線付近を歩く 盲導犬連れ転落事故:朝日新聞デジタルより 2016年8月17日03時16分)

視覚障害者のホーム上の事故は相次いでいる。

2011年1月16日にJR山手線目白駅で、全盲の男性(当時42)がホームから線路に転落し、電車にひかれて死亡した。

関西でも、全盲の落語家・笑福亭伯鶴さんが2008年12月1日、阪急三国駅ホーム上で電車に引きずられて投げ出され、脳挫傷などの重傷を負った

転落・人身事故と、それに伴う列車の遅れを避けるため、政府は2020年度までに800駅にホームドアを設置するという目標を定めたが、建設時期の古い路線はホームに設置スペースを十分に確保することが難しい場合がある。全通時期が1939(昭和14)年と古い銀座線も、現時点で設置されたのは上野駅の一部のみにとどまっているNHKニュースによると、2018年度までに渋谷・新橋駅を除く17駅に設置される計画だという。

NHKニュースは、東京都盲人福祉協会の笹川吉彦会長の以下のような声を伝えている。

盲導犬やつえを使っているから大丈夫だとは考えずに、危ないと思ったらためらわず声を掛けてほしい。何も見えない状態で歩くという危険性を理解してほしい

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