澤穂希さんら「スポーツで復興を」廃炉拠点Jヴィレッジ、2020年東京五輪合宿で使用へ

「未来ある子どもたちにも良い合宿をしてもらって、世界に通用する選手を一人でも多く出してほしい」(澤穂希さん)

東京電力福島第一原発から約20kmにあり、原発事故後は廃炉作業の拠点として使用されている福島県のスポーツ施設、「Jヴィレッジ」の復旧を目指す記者会見が8月29日、都内で行われた。県公式サイトなどによると元なでしこジャパン主将の澤穂希さんらがサポーターに就任し、「スポーツの力で、復興を」と呼びかけ、復興のために寄付を呼び掛けた。

Jヴィレッジは福島第一原発から約20kmの福島県広野町、楢葉町にまたがって位置する。1997年に、日本のサッカー界初のナショナルトレーニングセンターとして開設された。2011年までは、男女の日本代表の合宿などで頻繁に使用。中高生を対象にした日本サッカー協会による初の選手育成校、JFAアカデミー福島の拠点としても使用され、特に女性では代表の田中陽子選手ら多くのプロを輩出した。

しかし、原発事故後に休業。この場所には国と県の現地災害対策本部が置かれ、その後、原発事故処理の作業員が着替えや宿泊をする中継基地となった。さらに、2016年3月までは東電の福島復興本社も設置されるなど、廃炉作業の拠点として使用されてきた。本来のスポーツ施設としては、2018年夏に一部再開、2019年4月の全面再開を目指すことがすでに発表されていた。

福島県の内堀雅雄知事は、29日の記者会見で復旧計画を説明し「Jヴィレッジを通じて福島の復興を世界に発信していきたい」と話した。

記者会見には、北京オリンピックの代表合宿などでも使用経験がある澤穂希さんも登壇。「現役中、長い間、Jヴィレッジでトレーニングをさせてもらった。サッカーに集中でき、非常に良い環境だった。そのおかげで良い結果を出すことができた。未来ある子どもたちにも良い合宿をしてもらって、世界に通用する選手を一人でも多く出してほしい」と話した。

復旧作業は2017年春に始まり、新たに屋根付き練習場や宿泊棟が設けられる予定。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、サッカー男女日本代表の強化拠点として使用される予定という。

敷地内では県や東京電力による除染作業が進められており、放射線量の現状はJヴィレッジ公式サイトで公開されている

国際放射線防護委員会(ICRP)の平常時の被ばく限度基準を元に、国が定めた除染の目標値は、追加被ばく線量年間1ミリシーベルト(毎時0.23マイクロシーベルト)。8月23日時点でサッカー場の大半では、この値を下回っているが、敷地内の山林では一部超えている場所もある。

関連記事

Japan v South Korea - AFC Women's Olympic Final Qualification Round

なでしこジャパン、韓国とドロー

注目記事