アメリカ・ニューヨーク市で9月17日夜に発生した爆発事件で、アフガニスタン出身のアメリカ人アハマド・カーン・ラハミ容疑者(28)を19日午前、ニュージャージー州リンデンで銃撃戦の末に身柄を拘束した。
アハマド・カーン・ラハミ容疑者
ラハミ容疑者は19日夜にマンハッタンのチェルシーで29人が負傷した爆発事件に関与しているとして指名手配されていた。警察との短い銃撃戦で肩などを負傷し、病院に搬送され手術を受けている。
チェルシーの爆発現場では、圧力鍋爆弾とみられる2つ目の爆発物も付近で発見された。
連邦捜査局(FBI)によると、ラハミ容疑者は1988年1月23日にアフガニスタンで生まれ、アメリカ国籍を持つ。
リンデン市のデレック・アームステッド市長は地元ラジオ局WABCに、「リンデン市内のバーのオーナーが、バーの廊下で人が横たわっているのを発見し、警察を呼んだようです」と語った。
「警察官1人が現場に向かいその男を起こそうとしましたが、彼が爆発事件で指名手配されているラハミ容疑者だと確認しました」と、アームステッド市長は話した。「その男がラハミ容疑者だと警察官が気づいたと同時に、彼は警察官に向けて発砲しました。警察官は防弾チョッキを着けていたことを神様に感謝したといいます。それが彼の命を救ったのだと思います」
リンデン警察署ジェームズ・サーニッキ警部はCBS2に、「ラハミ容疑者は警察官を撃った後、銃の乱射しながら道を歩き回りました」と語った。
「男は起き上がり、道を西向きに歩いて行きました」と、サーニッキ警部は語った。「男は無差別に銃を乱射していました。警察官の1人が彼に接近し、彼に向けて発砲したということです」
CBS2によると、バーで撃たれた警察官は防弾チョッキを着用しており、軽いケガを負った。また、報告によると、また銃撃戦の際に、もう一人の警察官も負傷したという。
容疑者が拘束されたリンデン市で19日に撮影された動画では、ラハミ容疑者が銃撃戦後に救急車で搬送されている様子が捉えられている。
警察は、ラハミ容疑者はニュージャージー州シーサイドパークで17日朝に発生した爆発事件や、州内で複数の爆発物が発見された事件にも関与しているとみている。この日、アメリカ海兵隊主催のチャリティーマラソンがあり、5キロコース沿いにあったゴミ箱にあった小型パイプ爆弾が爆発した。
ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、「ニューヨーク州とニュージャージー州で発見された爆発物には類似点がある」と語った。
ニューヨーク州を管轄するFBIのウィリアム・スウィーニージュニア副局長は19日の記者会見で、「ラハミ容疑者がニューヨークシティとシーサイドパークで17日に起きた事件の爆発物に直接関与している」と明らかにした。
CNNによると、警察の情報筋からの話として、近年ラハミ容疑者は数回にわたり故郷のアフガニスタンを訪れていた。彼がアメリカに戻るたびに、入管職員は通常の入国手続きの一環としてラハミ容疑者をマークしていたが、彼がテロ実行犯になる可能性があるとは見なしていなかった。スウィーニー副支局長も記者会見で、「ラハミ容疑者はFBIの監視対象リストに載っていなかった」と話した。
ニューヨークのビル・デブラシオ市長は、「市当局は現段階で他に容疑者がいるとは見ていない」と話した。しかし、市長は引き続き市民に警戒するよう強く促した。
「何か不審物や、特に持ち主不明の荷物を見つけた場合には、ただちに通報することが極めて重要です」と、彼は述べた。
プリート・バララ連邦地方検事は、「ラハニ容疑者はニュージャージーでの銃撃事件について罪に問われるだろう」と述べたが、爆破事件に関して訴追する可能性については、詳細な説明を避けた。
現在判明しているラハミ容疑者の最後の住所は、ニュージャージー州エリザベスとなっていた。ある匿名の警察官はNBCニューヨークに、「不発弾の一つに残っていた指紋が彼を最終的に割り出す糸口になった」と語った。
「彼は自分の行動の形跡を隠すために、特別なことは何一つしなかったようだ」とその警察官は語った。ニューヨーク・タイムズによると、マンハッタンで爆弾を仕掛けるラハミ容疑者の姿を監視カメラが捉えていた。
19日早朝、警察当局は「ラハミ容疑者を目撃した者は直ちに通報するように」という携帯電話のメッセージを送信し、注意を呼びかけた。
17日の夜の爆発事件で負傷し病院に搬送された29人は、全員すでに退院したという。今回の事件の動機はまだ明らかになってはいない。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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