トランプ氏に「恥を知れ」と罵倒された米FRBのイエレン議長、屈することなく中央銀行の独立性守る

「政治情勢を考慮に入れることはありません」

アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)ジャネット・イエレン議長は9月21日、記者会見でアメリカ大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏からの非難に、品位をもって退けた。

トランプ氏は、景気浮揚効果を狙って低金利を続けるイエレン議長を「オバマ大統領の功績を高めるために、利率を低いままにしている」と非難している。トランプ氏は、オバマ大統領が指名したイエレン議長に「恥を知れ」と発言するほど、過激な批判を強めている。

主要金利を引き上げないとするFRBの見解を表明した後、イエレン議長は記者に対し次のように話し、中央銀行の独立性を断固として守った。

「金融政策を短期指向の政治圧力から切り離すため、議会は独立的な機関としてFRBを設立しました。党利党略のからむ政治は、中央銀行のあるべき姿に関する私たちの決定に何ら影響を与えません」

「会合では政治に関する議論はしません。金融政策の決定に際し、政治情勢を考慮に入れることはありません」

イエレン議長はトランプ氏の名を一度も口にすることなく、極めて巧みに反論した。名前を出せば、彼女はトランプ氏が仕掛けた罠にはまり、党略的な議論が新たに巻き起こったことだろう。

イエレン議長は慎重な言動で、輸入品に対する課税強化が及ぼす経済的な影響に関する質問に対しても言質を与えなかった。オバマ大統領が行う政策に波風を立てないようにする意図は明白だった。トランプ氏は、アメリカの製造業を保護し、不公平な貿易慣行に報復するために関税をかけて貿易を制限すると公約している。

FRBは政治に関与しないことをイエレン議長が強調したが、11月8日の大統領選前には利上げをしないだろうという多くのアナリストの見方に対しても、同じように沈黙を守ろうとしている。

「11月に行われるFRBの会合で、指標金利を引き上げる可能性は残されている」と、イエレン議長は強調した。この会合は、大統領選の1週間前に開催される。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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Sharon Lockhart

Photography in the Recession

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