世界一深い水中洞窟を発見 「21世紀のコロンブスになった気分だ」

「"21世紀のコロンブス"になった気分だ」

潜水するクルジズトフ・スタルナウスキさん、洞窟にて。

チェコ東部にある石灰岩の水中洞窟「ヘラニツェ深淵」が、世界で最も深い水中洞窟であることを、チェコとポーランドの合同調査チームが9月30日に発表した。

ヘラニツェ深淵は、少なくとも水深404メートル。これまで世界一深い水中洞窟とされていたローマの北東にあるポッツォ・デル・メッロ洞窟(水深392メートル)よりもおよそ12メートル深いことになる。

雑誌「ナショナル・ジオグラフィック」によると、調査チームは9月27日、遠隔操作車両(ROV)を使って洞窟の最も深い部分まで降下していき、搭載された水深計で水深を測定した。ナショナル・ジオグラフィックは、この調査の資金援助をしている。

チェコにあるヘラニツェ深淵のデータ表。今回の調査で最深部まで潜水した。

「私が200メートルまで潜り、あとはロボットに潜水してもらうため、ROVを配置しました」と、この調査のリーダーでポーランドの著名なダイバー、クルジズトフ・スタルナウスキ氏は「ナショナル・ジオグラフィック」に語った。「今回の調査の目的は、洞窟の一番深いところまで行けるように、ROVをうまく操作することでした」

スタルナウスキ氏は、測定が最近認定されたことについて「私たちは、計測が正確なものだと100%確信しています」と語った。

この洞窟は、404メートルよりさらに深い可能性もある。

「引き上げようと決めた時に、黒い溝がROVの下に見えましたと、調査メンバーでポーランドの写真家マーシン・ジャムコウスキ氏は、ハフポストUS版の取材に答えた。「そこには、木や丸太、枝がたくさんあり、ROVの光ファイバーケーブルがどこかに絡まないにと祈っていました」

遠隔操作車両を洞窟の底まで送り込む準備をする調査チームの様子。

チームは一番深い部分の潜水をROVに頼らざるを得なかった。人間のダイバーが安全に潜れる限界を超える深さだからだと、ジャムコウスキ氏はハフポストUS版に語った。

「石油会社の調査で限界までの深さの潜水(「飽和潜水」と呼ばれる)を何度かやったことがありますが、水面に上がっては潜ってを繰り返し、調査にはおよそ1カ月かかります」と、ジャムコウスキさんは、科学ニュースサイト「ライブサイエンス」に語った。「ヘラニツェ深淵のような洞窟では、まず人間が深くまで潜水することはできません。人間が行けないのなら、ロボットを送るという選択が妥当でした」

洞窟の底に向かって降下する遠隔操作車両。

洞窟の状況は潜水するには困難なものだった。水温はおよそ摂氏15度(華氏59度)、そして水中に含まれるミネラルが、器具や露呈した肌を痛める可能性があったと、スタルナウスキ氏はAP通信に語った。

ナショナル・ジオグラフィックによると、スタルナウスキ氏は、およそ20年にわたってこの洞窟を探索している。その経験から、安全を保つためにはどのギアが必要か、正常に機能しなかったり、失われたりした場合に備えてどれだけの予備を持って行くかということを知り尽くしていた。

「スタルナウスキ氏は電動で温まるドライスーツにヘルメットをかぶっていた」とジャムコウスキ氏は語った。彼は、マスクを2個、呼吸システムを2個、コンパス2個、懐中電灯2個、ビデオカメラを3台、切断用道具を3つ、細いワイヤー2巻を携帯していた。

「このような発見をして、生きてこの発見を語れるのは、どんな気分ですか?」というAP通信の質問に対し、スタルナウスキ氏は、「21世紀のコロンブス」になった気分です、と答えた。

クルジズトフ・スタルナウスキさん(左)と、バルトロミージュ・グリンダさんがROVの潜水を確認している様子。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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