姫島村で61年ぶり村長選 親子2代で村長職を独占した離島で何が?

前回の選挙戦は1955年。どんな時代だった?
時事通信社

大分県の離島にある姫島村で任期満了に伴う村長選(11月1日告示、6日投開票)が、61年ぶりの選挙戦となる見通しとなった。

共同通信によると、今回の村長選をめぐっては、1984年から現職の藤本昭夫氏(73)が9選を目指し既に出馬を表明。これに対し、村教育委員で元NHK職員の藤本敏和氏(67)が出馬の意向を固めたという。村長選は、この2人の一騎打ちとなる見込みだ。現職、新人ともに藤本姓だが、親戚関係はないという。

朝日新聞デジタルによると、藤本村長は新顔の動きに「ノーコメント」とした上で、「一対一の選挙戦は村を二分する」と語った

一方、新顔の藤本敏和氏は記者会見で、「多選による村政の風通しの悪さに風穴をあけ、村民が自由に意見を言える状況をつくりたい」と出馬理由を説明した

■親子2代で村長職を50年以上独占

姫島村長選が選挙戦となったのは、1955年が最後。毎日新聞によると、1955年の村長選は、「元職と新人の一騎打ちで激しい選挙戦となったため、狭い島にしこりが残っ」たという。そのため、村では選挙を避ける風潮が生まれたとされる。以降、村長選は16回連続で無投票が続いている

姫島村では1960年、現村長の父である故藤本熊雄氏が無投票で当選。その後も無投票で7期務めた。現村長の藤本昭夫氏は、父親の急死を受けて1984年に立候補。8回連続で無投票で当選してきた。熊雄氏・昭夫氏の親子2代で村長職を50年以上独占していることになる。

毎日新聞は、全国町村会の情報として「現職の首長で8回連続無投票当選は北海道乙部町の寺島光一郎氏と並び全国最多」と伝えている

61年ぶりの村長選。投票経験者は80代以上に限られ、大半の住民にとって初の機会となる。そんな村民の思いを、地元の大分合同新聞は以下のように伝えている。

元村職員の60代女性は対抗馬の出現に「時代の流れでしょうか」と驚いた様子。「先代と2代で島を思ってくれた村長には今までの苦労もある。交代の時期が来たのかなと思うけれど、どちらに投票するか急には決められない」。90代女性は「55年の選挙戦では村が二分し、しこりが残った。藤本村長がもう1期担い、4年後に無投票で藤本敏和氏が引き継ぐ方が良かった」と話す。



若手は歓迎の声。20代男性は「一石を投じた感じ。どんな選挙戦になるのか楽しみ」。村青年団の常盤真人団長(30)は「人口減の課題もあり、島も変わっていくべき。若者の感覚では投票が村民を分けるとは思わない。結果はどうあれ、新しい風が吹けばいい」と話した。

選挙戦濃厚、姫島村の住民に期待と戸惑い - 大分のニュースなら 大分合同新聞プレミアムオンライン Gateより)


村選挙管理委員会によると、9月2日現在の選挙人名簿登録者数は1958人

■姫島村ってどんなところ?

姫島村は、大分県国東半島の北部に位置する離島で、人口約2000人。車エビの養殖など漁業などが盛ん。村役場の公式サイトによると、ブランド商品として「姫島車えびしゃぶしゃぶ」を売り出しており、「姫島車えびのプリプリの歯ごたえと甘みが自慢の逸品」だという。

姫島車えびしゃぶしゃぶ

また、国の天然記念物の「姫島の黒曜石産地」や、国選択無形民俗文化財の「姫島盆踊」や、渡りチョウの「アサギマダラ」など風光明媚な観光資源も特徴だ。

姫島盆踊・きつね踊り

姫島で乱舞するアサギマダラ

村役場の運営は「賃金を抑えて多くの職員を雇う」方針で、「日本のワークシェアの元祖」とも呼ばれる

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