豊洲市場の盛り土問題で8人の責任者を特定、石原氏は「ほぼノー回答だった」と小池百合子知事

懲戒処分などについて今後検討し、手続きを「速やかに進める」とした。

東京都の豊洲新市場の主要な建物の下に土壌汚染対策の盛り土がなく、代わりにモニタリングのための地下空間が作られていた問題で、小池百合子知事は11月1日、記者会見で2回目の内部検証報告書の内容を報告、決定に関与した責任者8人を特定したと発表した。

8人は、市場長を務めた副知事の中西充氏ら現職4人、OBが4人の計8人。懲戒処分などについて今後検討し、手続きを「速やかに進める」とした。

小池知事は、同日の発表で、盛り土ではなく地下空間が作られた経緯について改めて説明した。報告によると、東京都は2009年の段階で敷地全体に盛り土を行う方針を正式に決定していた。しかし、その決定を覆して地下空間を作ることが実質的に決められたのは、2011年8月に行われた部課長級の会議だった。その会議結果を受けて、9月に当時の市場長が設計の発注を承認していた。

設計変更が行われた理由について、小池知事は「土壌汚染対策法への対策で盛り土を全面的にすることを最初に決めたが、さらに『モニタリング空間を設けた方がいいのではないか』とシフトして来た」と説明した。

豊洲市場の水産卸売場棟の地下空間を視察する専門家会議の平田健正座長(手前)=東京都江東区 撮影日:2016年09月24日

■盛り土問題、これまでの経緯

豊洲市場への移転をめぐっては、小池知事が就任後の8月31日に移転延期を表明。その後の調査で、土壌汚染対策として建物下部全体にされていたはずの盛り土がなく、代わりに地下空間が建設されていたことがわかり、9月10日に公表された

東京都は設計変更の経緯についての内部調査を実施したが、9月30日に公表された1度目の報告書では「責任者を特定することは難しい」と結論づけられていた。

また、「技術会議が独自に提案した」と記載していた設計変更が実際には都側の提案で行われていたなど、事実に反する記載があったことも明らかになり、小池知事がやり直しを指示して今回の第2次調査が行われた。

当時の都知事を務めていた石原慎太郎氏についても、小池知事から質問状が送られていたが、石原氏側は多くの質問に対して「記憶がない」などと文書で回答。小池知事は「ほぼノー回答だったと思います」として、ヒアリングなども引き続き検討するとした。

豊洲市場への移転については1月中旬に明らかになる地下水のモニタリング調査などの結果を元に別途、検討される予定。

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