「シャーマンに国を任せた」韓国で怒り広がる。朴槿恵大統領と崔順実氏を結んだ宗教とは(動画)

では、どうやって、朴槿恵氏から厚い信任を得られたのだろうか?
KBS

韓国の朴槿恵大統領が、国政・外交文書を事前に渡したり、国政や人事への介入を受けていたと言われる知人女性・崔順実(チェ・スンシル)氏。

崔氏の父が新興宗教団体の教祖で、自身も活動に深く関わっていたことで、「ムーダン(シャーマン)に国を任せていたのか」という韓国民の怒りが吹き荒れている。

崔氏の父親と朴槿恵氏との関係も、宗教と密接に関わったものだった。

崔順実氏と朴槿恵大統領の関係は、崔氏の父である崔太敏(チェ・テミン)氏までさかのぼる。崔太敏氏への信頼が、5人目の娘・崔順実氏まで続いたというのが定説だ。

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KBSは、崔太敏氏が総裁を務めていたキリスト教系新興宗教団体「大韓救国宣教団」の行事「救国祈禱会」の映像をFacebookページで公開した。祈禱会の日付は1975年5月4日。崔太敏氏が説教をすると、信者たちが熱狂的に祈り始める様子が写っている。

やがて、朴槿恵氏が信徒に向かって演説を始める。

当時23歳の朴槿恵氏は、前年にテロで暗殺された母親に代わって、事実上のファーストレディー役を務めていた。京郷新聞によると、この日、朴槿恵氏は、崔太敏氏の提案で「大韓救国宣教団」の名誉総裁に就任し、1976年には崔太敏氏とともに、忠孝や礼儀の大事さを啓蒙する社会運動団体「セマウム奉仕団」(セマウムは「新しい心」の意味。農村近代化運動の「セマウル」とは違う)を結成。対外活動の中心に据えた。

崔太敏氏の5番目の娘、崔順実氏は「セマウム大学生総連合会」の会長だった。動画ニュースサイトの「ニュースタパ」は、当時の映像を公開している。

当時、崔順実氏(左)は27歳、朴槿恵氏は23歳だった。

では、崔太敏氏はどうやって、朴槿恵氏から厚い信任を得られたのだろうか? 広く知られているのは、1974年8月15日に朴氏の母で朴正熙(パク・チョンヒ)大統領の夫人・陸英修(ユク・ヨンス)女史が銃撃で殺害され、深い悲しみに陥っていた朴氏に、崔氏が「陸夫人から『私の娘クネを助けなさい』と伝言を受けた」と手紙を書いて接近したという話だ(崔氏は生前、雑誌のインタビューで否定している)。

手紙の内容は、朴正熙政権時代の有力政治家、金炯旭の回顧録によれば、以下の通りだ

「母上は亡くなられたのではなく、あなたの時代を切り開くために道を譲ったのだ。あなたを韓国、さらにアジアの指導者として育てるため、場所を空けたに過ぎない。母上の声が聞きたいときは、私を通じていつでも聞ける。母上が夢に現れ『愚かな娘が何も知らずに悲しんでばかりいる』として『私の意思を伝えてほしい』と言った」

ただ、どんなに深い悲しみに陥っていたとしても、そう簡単に崔氏を信じたとは考えにくい。

生前の崔太敏氏をよく知るチョン・ギヨン牧師は10月30日、韓国紙・国民日報とのインタビューで、崔太敏氏が呪術で朴氏を惑わせたと証言した。プロテスタント系の「大韓耶蘇教長老会総合総会」総会長を務めており、崔太敏氏が総会長だった1979年に按手(牧師としての任命)を受けて知り合ったという。

母の突然の死でとてつもない心痛に悩まされていた朴槿恵氏の前で、崔氏が母の魂に憑依したと言って、彼女の表情や声を演じた。これを見て驚いた朴槿恵氏が気絶して入神した(国民日報、10月30日)

「入神」という表現についてチョン・ギヨン牧師は、崔太敏氏が使った表現として「幻を見たり、天国や地獄を見たり、熱いスピリチュアルな体験、神が宿ったりするなど」の神秘体験を指すと説明した。「驚いた朴槿恵氏は、その時から崔氏をスピリチュアルな存在として見るようになった」とも話した。崔太敏氏の発言は「病気を治す、占うなど呪術的な内容が多かった。特にキリスト教神学から逸脱したことを続けて、教団から追い出された」という。

娘の崔順実氏と、元夫のチョン・ユンフェ氏も「崔太敏氏の呪術の霊をそのまま受け継いだ」とし「朴大統領が、これらの呪術にやられてしまった」と主張している。

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