アメリカ民主党の希望の星カマラ・ハリス氏、目指すは初の女性大統領か

2020年、トランプ氏に挑むかもしれない。

カマラ・ハリス氏

共和党のドナルド・トランプ氏が11月8日夜、大統領選で勝利した結果、アメリカは女性大統領の誕生まで少なくとも4年間待たなければならなくなった。

ヒラリー・クリントン氏が敗北したことで、女性大統領を熱望していた多くのアメリカ国民が大きな打撃を受けた。

同じ日、カリフォルニア州の上院議員選挙で、民主党のカマラ・ハリス氏が勝利した。彼女は次に「ガラスの天井を打ち破る」最大の希望となるかもしれない。

ハリス氏はバラク・オバマ大統領と比べられることが多い。オバマ大統領は上院議員の1期中に大統領選に出馬したことで有名だ。ハリス氏の経歴と、彼女の洗練された政治へのアプローチは、民主党が前に進むために目指すべきと多くの人が思っていることを具体化している。上院議員に当選する前、彼女はカリフォルニア州知事や最高裁判所判事、また、副大統領などの要職に名前が挙げられた。

2020年にトランプ氏に挑むかもしれないハリス氏について、知ってもらいたいことがいくつかある。

カリフォルニア州司法長官を6年間務めた。

サンフランシスコ・ベイエリア出身のハリス氏は、6年間検事を務め、サンフランシスコ地区検事長に2回当選した。その後、2010年にカリフォルニア州司法長官となった。司法長官の選挙で、彼女は最も人口の多いこの州の、巨大な法執行機関の頂点に登りつめ、重要なアイデアを出し、さまざまな問題を解決した。

彼女の経歴で特筆すべきことがある。州全土で不登校を減らすキャンペーンを展開し、レイプ事件の解決に尽力した。また、2015年に破綻した民間企業運営の大学「コリンシアン・カレッジ」を訴追し、11億ドルを支払わせた。さらに、カリフォルニアの住宅所有者に代わって、住宅ローン救済決定の交渉もしている(ニュースの見出しを飾ったが、大したことはしていないとの批判が出ている)。

加えて、「黒人の命だって大切だ」を結集させた指導的な司法長官のひとりでもある。7月の民主党全国大会では、警察による黒人の殺害について訴え、それぞれの州が警官が関わった銃撃事件のデータを記録し、警察の不不公平な行為を減らすためのトレーニングを増加させるよう訴えた。

それでも、活動家らは警察の銃撃事件の調査が不十分だとし、州レベルでボディカメラ着用義務の法制化に反対している彼女を非難している。

刑事司法改革を実行した。

ハリス氏は刑事司法システム改革「スマート・オン・クライム」を実行している。「スマート・オン・クライム」は、軽犯罪者は刑務所に収監しないことを基本としている。彼女は州の司法長官として、麻薬取り締まりに失敗したことを認め、問題解決のためには早期教育が重要だと指摘した。2013年、州司法省と地域行政が連携し、再犯を減らす構想に着手した。

しかし、急進改革派は、カリフォルニア州の司法トップとしてハリス氏は慎重過ぎるとし、ここ数年の受刑者を減らす州の政策は、州刑務所の再編成を含め、州議会または住民投票を通して実行されており、彼女のリーダーシップによるものではないと指摘した。彼女はまた、検察の不正に対し弱腰だと非難されている。それにはオレンジ郡刑務所での司法取引不正への対応などが含まれている。

カリフォルニア州上院議員選挙の当選を祝うカマラ・ハリス氏。ドナルド・トランプ氏の大統領当選の陰に隠れてしまった。

同性婚の闘いに大きな役割を果たした。

ハリス氏はカリフォルニア州の同性婚禁止条項「プロポジション8(提案8号)」に反対した。この条項は2008年に州議会を通過し、カリフォルニア州での同性婚を禁止したものだ。2011年、彼女は同性婚の合法化を求め、連邦控訴裁判所で争ったが、禁止は合憲とされた。

「プロポジション8の弁護を拒否しました。憲法違反だからです」と、2013年にハリス氏は語った。当時、プロポジション8が合憲か違憲かの判断は連邦最高裁に持ち込まれていた。最終的には、同性婚は解禁され、「すべての市民が権利を持てる時が来ました」と、ハリス氏は語っている。

彼女は同性愛者の権利を擁護している。2015年、アメリカ全土で同性婚を合法化する最高裁の決定に反対した保守派のアントニン・スカリア最高裁判事に異例の批判をした。

「プレーヤーを憎むな、規則を憎め、とは言いますが」と彼女は語った。「スカリア判事のせいで、多くの人が裁判所の尊厳に疑問を投げかけました。彼はこの件に関してあのような反対意見を発表しています。残念なことです」

上院議員に当選し、すでに歴史的偉業を成し遂げている。

ハリス氏は上院議員に当選した2人目のアフリカ系アメリカ人女性だ。初のアフリカ系アメリカ女性上院議員は、1992年に当選したキャロル・モーズリー・ブラウン氏で、1期務めた。ハリス氏はまた、上院議員に当選した初のインド系アメリカ人でもある(彼女の母親はインドからアメリカ合衆国に移住した)。

こうした障壁を乗り越えるのは、ハリス氏にとって何も新しいことではない。彼女はカリフォルニア州の法秩序を守る地位に就任した初の女性で、初のアフリカ系アメリカ人、また、初のインド系アメリカ人だ。

「私の母はよく言っていました。『いろいろなことで最初の人になるかもしれないけれど、最後の人にはならないで』」と、ハリス氏は7月にアメリカの議会情報誌「CQ Roll Call」で語った。「指導者は、代表している人々の意向を反映しなければなりません。完全に代表としての務めを果たすまでは、この国の理想に達していないことを理解すべきだと思うのです」

上層部に友人がいる。

まずは、オバマ大統領と、ジョー・バイデン副大統領だ。高い支持率のまま任期を終えようとしている彼らは、議員歴20年以上のベテラン下院議員ロレッタ・サンチェス氏よりもハリス氏を支援した。オバマ大統領はハリス氏と長い間親交がある。彼は2010年、ハリス氏がカリフォルニア州司法長官に初当選したときに支持している。(また、アメリカ中で「最も美しい」司法長官だと彼女を称賛したが、後に声明で謝罪した)

ハリス氏はまた、著名で人気のある民主党員らからも支持されている。その中には、マサチューセッツ州上院議員のエリザベス・ウォーレン氏、ニュージャージー州上院議員のコーリー・ブッカー氏、カリフォルニア州上院議員のダイアン・ファインスタイン氏、(彼女が取って代わる予定の)バーバラ・ボクサー氏、ニューヨーク州上院議員のカーステン・ギリブランド氏、チャック・シューマー氏、カリフォルニア州知事のジェリー・ブラウン氏、カリフォルニア州副知事のギャビン・ニューサム氏、そして多くのホワイトハウス職員がいる。

もし2020年にハリス氏が大統領選に出馬すれば、アメリカ中のこうした顔ぶれが彼女を支持するだろう。

上院議員当選後の初仕事は?トランプ政権を糾弾すること。

ハリス氏は11月8日夜に勝利したが、トランプ氏の当選の陰に隠れてしまった。喜びの時となるはずだったが、どこかパッとしない雰囲気が漂っていた。彼女はトランプ氏が選挙中に展開した人種差別主義や外国人排斥の動きに全力で立ち向かった。支持者らには不平等に対する闘いを続けるよう呼びかけている。

「結果がどうであれ、市民権と正義、平等について闘うことは当然です。そうした権利は永遠ではありません。ですから、いつも目を見開いていなければならないのです」とハリス氏は語った。「絶望しないでください。圧倒されないでください。あきらめずに、全力で取り組み、私たちのために闘いましょう」

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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カマラ・ハリス

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