ハフィントンポスト新編集長にポルグリーン氏 ニューヨークタイムズの「希望の星」

アフリカ出身で、LGBTなどの性的マイノリティのコミュニティに所属する多様なバックグラウンドの持ち主です。

リディア・ポルグリーンは、世界中に17の編集部を持つハフィントンポストに、彼女の幅広い国際的な経験をもたらす。

ハフィントンポストUS版は12月7日、アメリカの有力紙「ニューヨークタイムズ」のリディア・ポルグリーン氏が新しい編集長に就任すると発表した。共同創業者で初代編集長のアリアナ・ハフィントンは新ビジネスを立ち上げるため、2016年夏に編集長職を退いていた。

ポルグリーン氏は41歳。ニューヨークタイムズの西アフリカ支局長や南アジア支局長などを歴任したあと、同紙の国際展開を担う「NYTグローバル」の編集責任者に就任。Twitterで積極的な発信をし、古くさい伝統メディアのデジタル改革を担っていた。政治系ニュースサイトの「ポリティコ」からは、ニューヨークタイムズの「希望の星」とも称されていた。

ポルグリーン氏は、西アフリカ出身。LGBTなどの性的マイノリティのコミュニティに所属し、共同創業者のハフィントン氏のTwitterには彼女と同性のパートナーが仲良く笑う写真が紹介されている。さまざまなバックグラウンドを持つ彼女がトップに就くことによって、メディアとして「多様性(ダイバーシティ)の大切さ」を社会に強く訴える。

ハフィントンポストUS版によると、ポルグリーン氏にとって、長年過ごしたニューヨークタイムズを去るのは簡単ではなかったが、編集長職は「一生に一度の機会」だと語ったという。また、ドナルド・トランプ氏が次期大統領に当選することを、メディアが正確に予測できなかった点に触れ、「メディア自身が閉じられた空間にいて、自分たちの限界を超えられなかった」ことに気づかされたと明かした。

2016年は、トランプ氏の当選をはじめ、イギリスのEU離脱が決まった。2017年のフランス大統領選に向けて右翼・国民戦線(FN)が勢いを増している。いずれも、エリートらの既得権益を批判して感情に訴える政治が得意だ。

こうした「ポピュリストの時代」に向き合う姿勢も示している。ポルグリーン氏は、「ハフィントンポストのDNAは基本的に進歩性・革新性を持っています。しかし、その意味はとても広く、(アメリカの大統領選の)熱狂的なバーニー・サンダーズ支持者やヒラリー・クリントンに投票した人たちだけでなく、この国の進んでいく方向やその未来に対して不安を感じてトランプ氏に投票した多くの人たちを動かした本当に色々なことを含んでいると思います」と話している。

ハフィントンポストは、保守系のニュースサイト「ドラッジ・レポート」に対抗するリベラル系のサイトとして、2005年に創設。ピューリッツァー賞を受賞するなどニュース・オピニオンサイトに成長。11月にはじめた南アフリカ版や、2013年から続く日本版を含む17の地域・国で展開している。2011年には、3億1500万ドルでAOLに売却され、さらに2016年7月、AOLの親会社であるベライゾンはヤフーの中核事業を買収することで合意している。

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