トランプ氏、大統領職はビジネスの「利益相反」に該当しないと主張

すべての役職から退任し、事業から撤退するという。
U.S. President-elect Donald Trump speaks during a news conference in the lobby of Trump Tower in Manhattan, New York City, U.S., January 11, 2017. REUTERS/Lucas Jackson
U.S. President-elect Donald Trump speaks during a news conference in the lobby of Trump Tower in Manhattan, New York City, U.S., January 11, 2017. REUTERS/Lucas Jackson
Lucas Jackson / Reuters

アメリカのトランプ次期大統領は1月11日、ニューヨークのトランプタワーで行われた大統領選後初の記者会見で、「最も多くの雇用を生み出す大統領になる」と強調する一方で、「利益相反」の指摘については自身のビジネスからすべて手を引くことで解消されると語った。

また、大統領選でロシアのサイバー攻撃があったことを認めたほか、会見前日にCNNBuzzFeedが「トランプ氏が性的なスキャンダルを抱えている」と報じたが、こうした「不名誉な情報」についてトランプ氏は「すべて偽ニュースだ。インチキだ」と強く否定した。

■ 「利益相反には該当しない」

トランプタワーで行われた会見は1時間近くに及んだ。会見では、大統領任期中の利益相反の可能性についてトランプ氏の見解が問われると想定されていたが、「不名誉な情報」に関する質問が相次ぎ、利益相反の話は隅に追いやられてしまった。

トランプ氏は会見で、大統領職は他の政府高官とは違い、利益相反が適用される法律がないと強調した。

「私には大統領としての利益相反に該当するような状況にはない。3カ月ほど前には、私はこの件を知らなかったが、良いことだ」と、トランプ氏は述べた。しかし、「利益相反と思われるような事態を避ける手順は踏んでいく」と付け加えた。

具体的には、ホテルやゴルフ場とといった自身のビジネスの経営は2人の息子に任せ、すべての役職から退任し、事業から撤退するという。

しかし、こうした措置は、実際にトランプ氏が自らの事業から完全に切り離すことにはならない。トランプ氏の資産は、「トラスト」に置かれることになるが、そのトラストは、成人した息子2人が管理する。そして大統領職を離れた後に、再び管理権を獲得するという計画があれば、トランプ氏は引き続き利益を得ることになる。

高級官僚を対象にした倫理の専門家が推奨する、後継者に全面的な裁量権を持たせる「ブラインド・トラスト(白紙委任信託)」であれば、所有者が管理することなく、どの投資が行われているのかさえも知ることがないトラストとなる。

■ トランプ氏、Twitterで「アメリカはナチス・ドイツか」

会見では「不名誉な情報」に関する質問が相次いだが、トランプ氏はこの件を報道したメディアや、それを公にリークしたと思われるアメリカの情報機関を批判している。11日朝のツイートでトランプ氏は次のように書いた。

情報機関は決してこの虚偽のニュースを公に『リーク』するべきではなかった。最後にもうひとつ言わせてほしい。我々はナチス・ドイツに住んでいるのか?

会見でこのツイートに関して尋ねられると、トランプ氏は、この数日中に報告書を提出するとみられる情報機関への攻撃を続けた。「私はこれは恥ずべきことだったと思う。恥ずべきことに、情報機関が結局虚偽や捏造であることが分かったさまざまな情報を与えていた」と、トランプ氏は語った。「これは恥ずべきことだと思うし、私はこういいたいのだが……こう言いたいのだが、それはナチスドイツがやったようなことだ。情報が虚偽や捏造だったのは恥ずべきことだし、それは公になってはならないものだと思う」

トランプ氏はまた、ロシア当局が、選挙運動中の自分について「不名誉な情報」を集めることなど不可能で、自分はいつもこのような危険を十分認識していると述べた。

「カメラは現代の技術で非常に小さくなっているため、それを見ることも、認識することもできない。気をつけた方がいい。さもないと夜のテレビ番組で自分が映っているのを見ることになる。私はいつもみんなにこのような忠告をしている。それに、私はとても潔癖症だ。信じてほしい」

■トランプ氏、ロシアのサイバー攻撃を認める

トランプ氏はこれまで、ロシアがサイバー攻撃に関わっているという情報機関の見解に懐疑的だった。ロシアとつながっている内部告発サイト「ウィキリークス」が、流出した民主党全国委員会(DNC)の内部メール毎日のように公開していた。トランプ氏は11日の会見で、初めて「ロシアがやったと思う」と公式に認めた。しかしそのあとで、他の国も関わっている可能性があるとも述べた。

さらにトランプ氏は、非難の矛先を再び民主党に向け、ハッキングを防ぐもっと強固な防御システムを導入すべきだったと述べた。機密事項の流出は、ロシア情報機関の仕業だと語った。

「でもこのことは強く言っておく。ハッキングについては話をしたし、悪いことで、あってはならないことだと言っただろう。しかし、ハッキングされた情報の中身と、ハッキングにより得られた教訓に目を向けてほしい。ヒラリー・クリントンは討論会に向けて質問を手に入れていたにもかかわらず、それについて当局に通報しなかったんだろう? それが問題なんだ。それこそが問題だ」と、トランプ氏は語った。

トランプ氏の選挙陣営の中に、当選に向けてロシアと協力した人間がいないと断言できるか、答えるよう求められたトランプ氏は、プーチン大統領の選挙介入は考えられないと答え、今後もそういったことはしないだろうと語った。プーチン大統領はアメリカに今後協力的になるからというのがその理由だ。しかし、ロシア側との協力があったかどうかについては答えを避けた。

事務所に戻るためにトランプタワーのエレベーターに乗り込みながら、トランプ氏は付いて来ていた記者団に対して、自身もスタッフも選挙戦においてロシアと接触していなかったと語った。

トランプ氏とロシアとのつながりを伝える1月10日のメディア報道や先週のアメリカ情報機関の報告から、いずれもトランプ氏が11月の選挙戦で勝利ようためロシアが援助したと結論付けた。

トランプ氏の記者会見は2016年7月以来、およそ6カ月ぶりのことだ。前回の会見では、民主党候補だったクリントン氏のメールをハッキングするようロシアに呼び掛けている。その時以来、年末に自らが所有するパーム・ビーチのリゾート施設で記者団の質問に答えるなど、さまざまな機会で記者たちとちょっとした「騒々しい集まり」を繰り広げている。

年末の記者団とのやりとりでは、トランプ氏はロシアがサイバー攻撃に関与したとする見方を否定していた。また10歳の息子がコンピュータが得意なので自分は個人的にハッキングにくわしいから、誰がハッキングしたのか特定することは不可能だと主張していた。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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トランプ次期大統領、大統領選後初の会見

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